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第28話 お姫様抱っこ!?:魔王の娘フラータ視点
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「あっ! 出てきた……? えっ……!」
リストーマくんが出てきたと思ったら、なんでか女の子連れてる! いや抱えてる!
ちょっと待って。入る時にはあの子いなかったよね……? いなかったよね!?
中に入る時には確か、一人で何か言ってなかった?
うん。言ってた。言ってたよ。
なんで中から女の子と……?
「よく見ると、別の子?」
ちょっと聞き耳を立ててみるかな?
「あ、暴れないで。なに? 急にどうしたの?」
「日! 日です。お日様は沈んでますか?」
「あ、そっか。あんまりにもイメージと違ってて忘れてた。でも、そこはおんなじなんだね」
「どうなんですか!」
「うん。大丈夫。ほら、暗いし月が見えるでしょ?」
取り乱した様子の女の子が暴れていたようだけど、ちょっと落ち着いたみたい。
肌の白い女の子。焼けたくないのかな?
でも、いいな。女の子扱い。
「よ、よかった。すみません取り乱したりして……。いや、そんな謝る義理はないんですけど!」
「でも、おとなしくしてる時の方が僕は好きだよ?」
「……好きなんて。……あまり軽々しくいうものではないと思いますが……」
「そうかな? あっ、そうだ。きみの名前は?」
「名前……? ありませんけど」
「そうなの? なくて困らない?」
「困りませんけど……」
「うーん……? どういうこと?」
あの感じだと、ダンジョンから出てきたのに魔獣じゃないんじゃない?
リストーマくんと普通に話してる感じだし!
え、なに? パパ嘘ついてるの? ダンジョンには魔獣しかいないって。大ホラ吹きなの? なんなの?
それとも、パパの情報が古いの? ダンジョンには魔獣しかいなかったって。魔獣以外もいること知らないの? あれ絶対魔王軍にいる魔族とおんなじような子だよ? リストーマくんの力にキレてる場合じゃなくない?
「え……。フラータの見てきた世界って……」
どっちにしても遅れてる。
でも、こんなタイミングで出ていけないでしょ。
あの子めちゃくちゃかわいいし。
色白いし。
今の密着具合で出ていくのは野暮だし。
とにかく無理!
「そうだ。名前がないならサーピィって呼んでいい?」
「え、わたしをですか?」
「そう! 僕としては名前がないと困るからさ。どうかな?」
「えっと。はい! あの……試しに呼んでみてください」
「よろしく、サーピィ。僕はリストーマ」
「リストーマさん! へへ。えへへ……。サーピィか」
「よし。これで姫様にも紹介できる」
姫様……?
この間バイバイしてた子?
「……! そういうこと……?」
すべてがつながったかも……。
きっと、ダンジョンに入っていたのは、あの子をダンジョンから助け出すため
しかもそれを一国の姫様から頼まれて、それでいてダンジョンの前までお見送りまでしてもらってる。
え、嘘……。
なんていい子なの……。
あの紳士さはそういう……。
能力も納得だよ!
「あ、あの。名前は嬉しいんですけど、その、そろそろ降ろしてもらえませんか? わたし歩けます。それに汚いですし」
「いや、そういうわけには……。サーピィは他の魔獣と違って攻撃的じゃないし、弱ってるんだから、無理に歩かせるわけにはいかないし」
「攻撃はしましたけど……」
でも、依頼ならあの仲のよさは仕事の中のおせっかいかな?
なあんだ。よかった。好き同士かと思ってちょっと勘ぐっちゃったけど、優しさなら大丈夫だよね。
でもなー。今じゃないよなー。
「……」
「足だってケガしてるし。素足だし」
「……ないんです」
「それなら余計にだよ。近くだから、ね?」
「わ、わかりました……! その代わり、安全に連れて行ってくださいね? わたし、目立つと思うので……」
「それはもちろん!」
なーんかあの子、ちょっとずつほだされてるような気がするなー。
ま、リストーマくんに魅力があるのはわかるけどね?
でも、やっぱり出ていくのは今じゃない。
今回は、心が優しい人って再確認できた。
だから、あの子がいない時に再チャレンジだ。
「……ちゃーんと送り届けてあげるんだよ?」
「あ、せっかくおめかししたのに、見せられたなかったなぁ。でも、このカッコ……」
わかんない。いいのかな? これ。
でも、こんな感じだと他の子に取られちゃうかな?
魅力的だから、いろんな子に狙われてるって予想は合ってたけど……。
「これ? これかな? ……好みがわからないなぁ」
リストーマくんはどういう子が好きなんだろう。
魔王の娘なんて、人間は普通嫌かな?
…………。
「ううん! 考えても仕方ない。普通に話しかけてくれたし。大丈夫、なはず……」
「ドンッ! 帰ったなら帰ったと言え。顔を出さないか! ……ん? なんだ? 何してる」
「ちょっと……。パパには関係ないでしょ!」
「ほう? 戦闘衣装か? いいだろう。好きなものを作らせよう。我が娘のものだからな。依頼を出させよう」
「本当!? ありがとう!」
「して、どこへ行っていたのだ?」
「パパには言わない。言うわけないじゃん」
「そ、そうか……。バタン……」
「何あれ?」
でも、魔王軍の服飾の人はすっごいんだもん。
フラータの服もこれまで以上によくなるはず。
「誰よりも先に、リストーマくんを落として見せる」
リストーマくんが出てきたと思ったら、なんでか女の子連れてる! いや抱えてる!
ちょっと待って。入る時にはあの子いなかったよね……? いなかったよね!?
中に入る時には確か、一人で何か言ってなかった?
うん。言ってた。言ってたよ。
なんで中から女の子と……?
「よく見ると、別の子?」
ちょっと聞き耳を立ててみるかな?
「あ、暴れないで。なに? 急にどうしたの?」
「日! 日です。お日様は沈んでますか?」
「あ、そっか。あんまりにもイメージと違ってて忘れてた。でも、そこはおんなじなんだね」
「どうなんですか!」
「うん。大丈夫。ほら、暗いし月が見えるでしょ?」
取り乱した様子の女の子が暴れていたようだけど、ちょっと落ち着いたみたい。
肌の白い女の子。焼けたくないのかな?
でも、いいな。女の子扱い。
「よ、よかった。すみません取り乱したりして……。いや、そんな謝る義理はないんですけど!」
「でも、おとなしくしてる時の方が僕は好きだよ?」
「……好きなんて。……あまり軽々しくいうものではないと思いますが……」
「そうかな? あっ、そうだ。きみの名前は?」
「名前……? ありませんけど」
「そうなの? なくて困らない?」
「困りませんけど……」
「うーん……? どういうこと?」
あの感じだと、ダンジョンから出てきたのに魔獣じゃないんじゃない?
リストーマくんと普通に話してる感じだし!
え、なに? パパ嘘ついてるの? ダンジョンには魔獣しかいないって。大ホラ吹きなの? なんなの?
それとも、パパの情報が古いの? ダンジョンには魔獣しかいなかったって。魔獣以外もいること知らないの? あれ絶対魔王軍にいる魔族とおんなじような子だよ? リストーマくんの力にキレてる場合じゃなくない?
「え……。フラータの見てきた世界って……」
どっちにしても遅れてる。
でも、こんなタイミングで出ていけないでしょ。
あの子めちゃくちゃかわいいし。
色白いし。
今の密着具合で出ていくのは野暮だし。
とにかく無理!
「そうだ。名前がないならサーピィって呼んでいい?」
「え、わたしをですか?」
「そう! 僕としては名前がないと困るからさ。どうかな?」
「えっと。はい! あの……試しに呼んでみてください」
「よろしく、サーピィ。僕はリストーマ」
「リストーマさん! へへ。えへへ……。サーピィか」
「よし。これで姫様にも紹介できる」
姫様……?
この間バイバイしてた子?
「……! そういうこと……?」
すべてがつながったかも……。
きっと、ダンジョンに入っていたのは、あの子をダンジョンから助け出すため
しかもそれを一国の姫様から頼まれて、それでいてダンジョンの前までお見送りまでしてもらってる。
え、嘘……。
なんていい子なの……。
あの紳士さはそういう……。
能力も納得だよ!
「あ、あの。名前は嬉しいんですけど、その、そろそろ降ろしてもらえませんか? わたし歩けます。それに汚いですし」
「いや、そういうわけには……。サーピィは他の魔獣と違って攻撃的じゃないし、弱ってるんだから、無理に歩かせるわけにはいかないし」
「攻撃はしましたけど……」
でも、依頼ならあの仲のよさは仕事の中のおせっかいかな?
なあんだ。よかった。好き同士かと思ってちょっと勘ぐっちゃったけど、優しさなら大丈夫だよね。
でもなー。今じゃないよなー。
「……」
「足だってケガしてるし。素足だし」
「……ないんです」
「それなら余計にだよ。近くだから、ね?」
「わ、わかりました……! その代わり、安全に連れて行ってくださいね? わたし、目立つと思うので……」
「それはもちろん!」
なーんかあの子、ちょっとずつほだされてるような気がするなー。
ま、リストーマくんに魅力があるのはわかるけどね?
でも、やっぱり出ていくのは今じゃない。
今回は、心が優しい人って再確認できた。
だから、あの子がいない時に再チャレンジだ。
「……ちゃーんと送り届けてあげるんだよ?」
「あ、せっかくおめかししたのに、見せられたなかったなぁ。でも、このカッコ……」
わかんない。いいのかな? これ。
でも、こんな感じだと他の子に取られちゃうかな?
魅力的だから、いろんな子に狙われてるって予想は合ってたけど……。
「これ? これかな? ……好みがわからないなぁ」
リストーマくんはどういう子が好きなんだろう。
魔王の娘なんて、人間は普通嫌かな?
…………。
「ううん! 考えても仕方ない。普通に話しかけてくれたし。大丈夫、なはず……」
「ドンッ! 帰ったなら帰ったと言え。顔を出さないか! ……ん? なんだ? 何してる」
「ちょっと……。パパには関係ないでしょ!」
「ほう? 戦闘衣装か? いいだろう。好きなものを作らせよう。我が娘のものだからな。依頼を出させよう」
「本当!? ありがとう!」
「して、どこへ行っていたのだ?」
「パパには言わない。言うわけないじゃん」
「そ、そうか……。バタン……」
「何あれ?」
でも、魔王軍の服飾の人はすっごいんだもん。
フラータの服もこれまで以上によくなるはず。
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