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第8話 どうしてオレが:剣聖視点
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「人を人殺しみたいに言いやがって! 死んでねぇだろうが!」
「そこまで行ってないのでは」
「同じようなもんだろ!」
生き残ったのはたまたま拾われただけだろ。
視界がおかしくなったタイミングとも重なる。
誰がやったか知らないが、見えたのはアイツを捨てたのと似たような場所だ。あの姫様の関係者が、わざわざオレに見えるようにアイツを魔獣から助ける様を見せつけていたんだ。
そして、今回の軽すぎる処遇。完全にアイツはオレを見下している。どうせ、弱い者をいじめるしか脳のない、情けないおっさんだと思ってやがる。それだから、バカにしたような、憐れむような顔をしていたんだ。
勝ったつもりか?
「育ての父だぞ。仮にも父に対する態度か!」
どこまでも運だけはいいやつめ! クソが!
ああ! 腹立たしい。
近くに置いてある酒を一気にあおり、怒りを押し流そうとする。が、ダメだ。効果がない。
「だああ!」
怒りに任せ机を叩き割る。
びくりと震えるミッシュとリトート。
「お、落ち着きましょう?」
「そうです父様。これくらい」
「だまれ! オマエラ、オレの妻や息子でありながら、あんなヤツにコケにされてなんとも思わないのか!」
「「…………」」
ダメだこりゃ。
姫だと思って下手に出ていれば調子に乗やがって……。
そのうえ、あのクソガキの顔をもう一度見ることになるなんて。オレに罰をを与えたこといい、思い出すだけで怒りが込み上げてくる。
こっちから願い下げだってのに、向こうから命令されるなんて、オレの一番嫌いなことだ。
「あのダメ兄のジョブ、確か配信者とか言いましたか。それというのは、何か洗脳系のジョブなのではないでしょうか。そうでないと」
「はあ? 息子の分際でオレに講釈垂れようってのか? リトート。そんくらい少し考えたらわかるだろ! 口にする話でないわ!」
「すみません!」
「そもそもだ。少し考えたらわかる程度のことで提案しようなんて浅ましいんだよ。いいか? もし仮にあのクソガキに洗脳が可能だったなら、初めからオレたちの自我を奪って好きなように生きればよかった。つまり、そうじゃないってことだ。もしくはやらなかった。仮にやらなかったなら、理由がわからない。違うか?」
「そうですね。すみません」
「ったく。使えねぇな」
「そんなに言わなくても」
「何もできねぇ癖に口出しすんじゃねぇ!」
「…………」
うざったい親父が死んで、好き勝手できるようになったと思ったが、どういうわけかオレは親父ほど勝手ができねぇし、周りにいる人間も無能ばかり。
おまけに拾ったガキが親に迷惑をかけて権力者になびくようなクソガキだった。
オレの人生散々すぎるだろ。あーあ。オレかわいそ。
役立たずにしか恵まれなくて可哀想すぎだわ。
「……あ」
「黙ってろ」
どうせろくな考えじゃない。ろくな思いつきじゃない。
「今は機嫌が悪いんだ。わかるだろ? わかったら黙ってろ」
ここまで言わないと理解できないやつら。
日常なら問題なく暮らせるんだろうが、こんな状況じゃ役に立たない。
会わないだけだろ? だったら、計画を練って遠くからお高くとまったその鼻を明かしてやればいい。
そうだ。どうしてオレが反省する必要がある? やることに関しては自由の身だ。何したってとがめられるわけがない。
「そうと決まれば計画だな。おい、酒が空だぞ。早く持ってこい!」
「はい!」
「お前も何突っ立ってる。そんなことしてる暇があったら剣でも振ってろ」
「すみません」
邪魔なやつをどかして、オレの生活の足しにする。
さて、配信者だかなんだか知らないが、人の力を借りなきゃいけない時点で、どうせできることは小細工だ。オレのような輝かしい才能はない。
せいぜい、持ち前の運を強める程度の効果だろう。物珍しいきったないヤツだから、少しの間飼われているだけだ。どうせすぐに捨てられる。運の良さなんてそう長くは続かない。
運がいいとか抜かしているヤツは、いつもオレといる時に生き残っていた。他の時に無様にオレの世界に現れなくなった。
そういうことだ。結局は他人の力を吸って生きる寄生虫でしかない。
「おい! こんなもんじゃ足りねぇぞ!」
「これ以上は」
「あ? ねぇなら買ってこい!」
「……わかりました」
もっといい女だったんだがな。妻になって偉そうになりやがった。
そして、どういうわけか、入れ替わるようにリトートが戻ってきた。
「おい。終えていいなんて言ってないぞ」
「父様、少し落ち着きましょう?」
「落ち着いている! オレはいつだって冷静だ」
「酒を飲んでいて冷静なはず」
「うるせぇ! 汚点だったアイツのせいで、オレの顔に泥を塗られたんだ! 好き勝手して何が悪い!」
「そういう話じゃ」
「いい加減だまれ!」
さすがに持ってた酒瓶を投げつけるとリトートは黙り込んだ。
初めから口出しするなって話だ。
そうだ。力を見せれば誰だって恐怖で黙り込む。
くくく。剣聖の力、見せてやるよ。
「そこまで行ってないのでは」
「同じようなもんだろ!」
生き残ったのはたまたま拾われただけだろ。
視界がおかしくなったタイミングとも重なる。
誰がやったか知らないが、見えたのはアイツを捨てたのと似たような場所だ。あの姫様の関係者が、わざわざオレに見えるようにアイツを魔獣から助ける様を見せつけていたんだ。
そして、今回の軽すぎる処遇。完全にアイツはオレを見下している。どうせ、弱い者をいじめるしか脳のない、情けないおっさんだと思ってやがる。それだから、バカにしたような、憐れむような顔をしていたんだ。
勝ったつもりか?
「育ての父だぞ。仮にも父に対する態度か!」
どこまでも運だけはいいやつめ! クソが!
ああ! 腹立たしい。
近くに置いてある酒を一気にあおり、怒りを押し流そうとする。が、ダメだ。効果がない。
「だああ!」
怒りに任せ机を叩き割る。
びくりと震えるミッシュとリトート。
「お、落ち着きましょう?」
「そうです父様。これくらい」
「だまれ! オマエラ、オレの妻や息子でありながら、あんなヤツにコケにされてなんとも思わないのか!」
「「…………」」
ダメだこりゃ。
姫だと思って下手に出ていれば調子に乗やがって……。
そのうえ、あのクソガキの顔をもう一度見ることになるなんて。オレに罰をを与えたこといい、思い出すだけで怒りが込み上げてくる。
こっちから願い下げだってのに、向こうから命令されるなんて、オレの一番嫌いなことだ。
「あのダメ兄のジョブ、確か配信者とか言いましたか。それというのは、何か洗脳系のジョブなのではないでしょうか。そうでないと」
「はあ? 息子の分際でオレに講釈垂れようってのか? リトート。そんくらい少し考えたらわかるだろ! 口にする話でないわ!」
「すみません!」
「そもそもだ。少し考えたらわかる程度のことで提案しようなんて浅ましいんだよ。いいか? もし仮にあのクソガキに洗脳が可能だったなら、初めからオレたちの自我を奪って好きなように生きればよかった。つまり、そうじゃないってことだ。もしくはやらなかった。仮にやらなかったなら、理由がわからない。違うか?」
「そうですね。すみません」
「ったく。使えねぇな」
「そんなに言わなくても」
「何もできねぇ癖に口出しすんじゃねぇ!」
「…………」
うざったい親父が死んで、好き勝手できるようになったと思ったが、どういうわけかオレは親父ほど勝手ができねぇし、周りにいる人間も無能ばかり。
おまけに拾ったガキが親に迷惑をかけて権力者になびくようなクソガキだった。
オレの人生散々すぎるだろ。あーあ。オレかわいそ。
役立たずにしか恵まれなくて可哀想すぎだわ。
「……あ」
「黙ってろ」
どうせろくな考えじゃない。ろくな思いつきじゃない。
「今は機嫌が悪いんだ。わかるだろ? わかったら黙ってろ」
ここまで言わないと理解できないやつら。
日常なら問題なく暮らせるんだろうが、こんな状況じゃ役に立たない。
会わないだけだろ? だったら、計画を練って遠くからお高くとまったその鼻を明かしてやればいい。
そうだ。どうしてオレが反省する必要がある? やることに関しては自由の身だ。何したってとがめられるわけがない。
「そうと決まれば計画だな。おい、酒が空だぞ。早く持ってこい!」
「はい!」
「お前も何突っ立ってる。そんなことしてる暇があったら剣でも振ってろ」
「すみません」
邪魔なやつをどかして、オレの生活の足しにする。
さて、配信者だかなんだか知らないが、人の力を借りなきゃいけない時点で、どうせできることは小細工だ。オレのような輝かしい才能はない。
せいぜい、持ち前の運を強める程度の効果だろう。物珍しいきったないヤツだから、少しの間飼われているだけだ。どうせすぐに捨てられる。運の良さなんてそう長くは続かない。
運がいいとか抜かしているヤツは、いつもオレといる時に生き残っていた。他の時に無様にオレの世界に現れなくなった。
そういうことだ。結局は他人の力を吸って生きる寄生虫でしかない。
「おい! こんなもんじゃ足りねぇぞ!」
「これ以上は」
「あ? ねぇなら買ってこい!」
「……わかりました」
もっといい女だったんだがな。妻になって偉そうになりやがった。
そして、どういうわけか、入れ替わるようにリトートが戻ってきた。
「おい。終えていいなんて言ってないぞ」
「父様、少し落ち着きましょう?」
「落ち着いている! オレはいつだって冷静だ」
「酒を飲んでいて冷静なはず」
「うるせぇ! 汚点だったアイツのせいで、オレの顔に泥を塗られたんだ! 好き勝手して何が悪い!」
「そういう話じゃ」
「いい加減だまれ!」
さすがに持ってた酒瓶を投げつけるとリトートは黙り込んだ。
初めから口出しするなって話だ。
そうだ。力を見せれば誰だって恐怖で黙り込む。
くくく。剣聖の力、見せてやるよ。
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