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第一章 魔王討伐編
第49話 アカリを治す
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「アカリ! アカリ、アカリ!」
ジェムの効果で傷は治り、呼吸も安定していたとはいえ、アカリはまだ万全じゃない。
体力が回復すれば問題がなかったゲームとは違う。
ここは現実なのだから。
「ルカラ殿。どうなったのじゃ」
「魔王は倒しました。それより今はアカリです」
魔王はもう跡形もなく消え去った。
そんなことよりアカリだ。出血は止まり、体力も回復したはずだが、なかなか目を覚さない。
いや、新しい傷が増えている。
おそらく、粘着質に攻撃し続けていたのだろう。治ったはずの胸元にはまたしても生々しい傷ができている。もしかしたら吹き飛ばす時に毒も混ぜていたのかもしれない。
「なあ、アカリの状態が悪化してるんだ。治ったはずが、少しずつ肌が紫に」
きっと、きのみじゃどうにもならないだろう。ただの毒や体力の減少に効くきのみはあるが通用するかわからない。
そもそも気を失っているアカリに無理やり飲み込ませようとすれば窒息死させてしまうかもしれない。
「ルミリアさん。聖属性の魔法ならなんとかなりますか?」
「なるじゃろうな」
「うん。これは早めに対処したほうがいいよ。ルミリアさん体力はまだありますか?」
「ああ。大丈夫じゃ」
「いや、ここは俺がやります」
「お願いだ。アカリを! アカリを治してやってくれ」
「任せろ」
「余がやるのじゃ」
俺はルミリアさんの制止も振り切ってアカリの隣に座る。
ここで俺が魔王を倒したとかはもうどうでもいい。こんなところでアカリを死なせる訳にはいかないんだ。
魔王を倒す代わりに主人公が死ぬなんて、このゲームはそんな悲劇じゃないんだ。
「『セイクリッド・ライニグル』! 『オーラ・エンチャント』!」
魔法の発動によってアカリの肌は治っていく。
「はあっはあっはあっ」
「ルカラ殿! 力を使いすぎなのじゃ。ジェムとやらや、二属性の同時使用に加えて、そこにルカラ殿だけの力まで使った。このままでは肉体が保たぬ。余に任せるのじゃ」
「そうだよルカラくん。あたしたちもいるんだから」
「この中で一番効く魔法を使えるのは俺なんです。そして、アカリは俺の弟子なんです。こんなところで師匠が音をあげる訳にはいかないでしょう」
「ルカラ……ああ、ルカラ。アカリを直してくれ」
「もちろんだ」
視界がぼやける。体から力が抜ける。
この体になってここまで疲れるのは初めてだな。
ルカラでも肉体の限界ってのはあるのか。
いいや、まだだ。まだ、俺が倒れる訳にはいかない。
「『セイクリッド・ルミナス・クリアライニグル』! 『オーラ・エンチャント』!」
俺のこめる力弱まっていたことでかすかだった光は、さらなる力を加えたことでまばゆいほどの光に変わり、魔王の間全体を包み込んだ。
じわじわと治るだけだったアカリの肌は、即座に綺麗な肌へと戻り、そこに傷があったとわからないほど白く透き通っていた。
「あれ、私、どうしてたんだっけ」
ぱちぱちとまばたきして、やっとアカリが目を覚ました。
「あ、師匠、みんな。魔王は……ん。なんか触られて……師匠!? ちょ、え、どこ触ってるんですか? そんな、気が早いですよ。私たちまだそこまでの関係じゃ……」
「よかった……」
アカリの声を聞いて、完全に体から力が抜けた。
攻撃や防御だけでなく、回復まで体を慣らしておくべきだったな。
「師匠……」
まだ病み上がりで少しだけ体を起こしたアカリに覆い被さるように倒れ込むなんて師匠失格だな。
「師匠。ありがとうございます。ゆっくり休んでください」
さすがにもう体に力が入らない。久しぶりに疲れ切ったような気がする。
この体になってから体力の限界なんて感じたことなかったのに。
「師匠もこんなお顔するんですね」
「余はいつも見ておるぞ」
「あたしもそうです」
「楽しそうだな。それに元気だな。私はアカリが治ったばかりでそれどころではないのに」
なんだか周りがうるさいが、俺は別に死ぬ訳じゃない。
けど、少しだけ眠いから、今は重いまぶたをおろそう。
ジェムの効果で傷は治り、呼吸も安定していたとはいえ、アカリはまだ万全じゃない。
体力が回復すれば問題がなかったゲームとは違う。
ここは現実なのだから。
「ルカラ殿。どうなったのじゃ」
「魔王は倒しました。それより今はアカリです」
魔王はもう跡形もなく消え去った。
そんなことよりアカリだ。出血は止まり、体力も回復したはずだが、なかなか目を覚さない。
いや、新しい傷が増えている。
おそらく、粘着質に攻撃し続けていたのだろう。治ったはずの胸元にはまたしても生々しい傷ができている。もしかしたら吹き飛ばす時に毒も混ぜていたのかもしれない。
「なあ、アカリの状態が悪化してるんだ。治ったはずが、少しずつ肌が紫に」
きっと、きのみじゃどうにもならないだろう。ただの毒や体力の減少に効くきのみはあるが通用するかわからない。
そもそも気を失っているアカリに無理やり飲み込ませようとすれば窒息死させてしまうかもしれない。
「ルミリアさん。聖属性の魔法ならなんとかなりますか?」
「なるじゃろうな」
「うん。これは早めに対処したほうがいいよ。ルミリアさん体力はまだありますか?」
「ああ。大丈夫じゃ」
「いや、ここは俺がやります」
「お願いだ。アカリを! アカリを治してやってくれ」
「任せろ」
「余がやるのじゃ」
俺はルミリアさんの制止も振り切ってアカリの隣に座る。
ここで俺が魔王を倒したとかはもうどうでもいい。こんなところでアカリを死なせる訳にはいかないんだ。
魔王を倒す代わりに主人公が死ぬなんて、このゲームはそんな悲劇じゃないんだ。
「『セイクリッド・ライニグル』! 『オーラ・エンチャント』!」
魔法の発動によってアカリの肌は治っていく。
「はあっはあっはあっ」
「ルカラ殿! 力を使いすぎなのじゃ。ジェムとやらや、二属性の同時使用に加えて、そこにルカラ殿だけの力まで使った。このままでは肉体が保たぬ。余に任せるのじゃ」
「そうだよルカラくん。あたしたちもいるんだから」
「この中で一番効く魔法を使えるのは俺なんです。そして、アカリは俺の弟子なんです。こんなところで師匠が音をあげる訳にはいかないでしょう」
「ルカラ……ああ、ルカラ。アカリを直してくれ」
「もちろんだ」
視界がぼやける。体から力が抜ける。
この体になってここまで疲れるのは初めてだな。
ルカラでも肉体の限界ってのはあるのか。
いいや、まだだ。まだ、俺が倒れる訳にはいかない。
「『セイクリッド・ルミナス・クリアライニグル』! 『オーラ・エンチャント』!」
俺のこめる力弱まっていたことでかすかだった光は、さらなる力を加えたことでまばゆいほどの光に変わり、魔王の間全体を包み込んだ。
じわじわと治るだけだったアカリの肌は、即座に綺麗な肌へと戻り、そこに傷があったとわからないほど白く透き通っていた。
「あれ、私、どうしてたんだっけ」
ぱちぱちとまばたきして、やっとアカリが目を覚ました。
「あ、師匠、みんな。魔王は……ん。なんか触られて……師匠!? ちょ、え、どこ触ってるんですか? そんな、気が早いですよ。私たちまだそこまでの関係じゃ……」
「よかった……」
アカリの声を聞いて、完全に体から力が抜けた。
攻撃や防御だけでなく、回復まで体を慣らしておくべきだったな。
「師匠……」
まだ病み上がりで少しだけ体を起こしたアカリに覆い被さるように倒れ込むなんて師匠失格だな。
「師匠。ありがとうございます。ゆっくり休んでください」
さすがにもう体に力が入らない。久しぶりに疲れ切ったような気がする。
この体になってから体力の限界なんて感じたことなかったのに。
「師匠もこんなお顔するんですね」
「余はいつも見ておるぞ」
「あたしもそうです」
「楽しそうだな。それに元気だな。私はアカリが治ったばかりでそれどころではないのに」
なんだか周りがうるさいが、俺は別に死ぬ訳じゃない。
けど、少しだけ眠いから、今は重いまぶたをおろそう。
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