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第一章 魔王討伐編
第29話 アカリを鍛えよう
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「昨日はお休みをいただいてありがとうございました。あんなにふかふかのベッドは初めてですよ。おかげさまでゆっくり休めました。体調バッチリです。な」
「ガオウ!」
「アカトカもありがとうって言ってます」
「そりゃよかった」
「いやー本当に気持ちよかったー」
「ガウー!」
なんかアカリもアカトカも朝から元気だ。
実際はアカリに休むよう言ったのはユイシャと一日過ごすための言い訳なのだが、疑っている様子はない。
むしろ感謝されていて胸が痛い。
「ユイシャさんと師匠って仲良いんですよね」
なんであかりも知ってるんだ? いや、初対面で抱きついてたらそうか。
「いや、ははは。幼なじみみたいなものだし」
「なるほど。やっぱり小さい頃から一緒だと気心知れてるんですね。昨日も付きっきりで見てたみたいですし」
「え」
バレてる。知れてる。
見てたのか。
「でも、今日は初めてってことで譲ってくれましたし、いつまでもお休み気分じゃいられませんよね」
「そうだな。お望みは特訓だろ?」
「はい!」
昨日のユイシャと過ごした時間のおかげで思い出したことがある。
手合わせをしたが、アカリの実力はまだ知らない。
そして、アカトカの方はしっかり見た訳じゃないということだ。
そのため、早速アカリにできることを一通り試してもらった。
「これでいいですか?」
「ああ。ありがとう」
なるほど。おおむねできる様子。
アカトカを連れているし、本契約もできるのだろう。
獣使いのことは一通りできるみたいだが、
「なあ、これは知らないか? 『ハビット・ジェイル』! あ」
「え、動けない!?」
うっかりアカリに使ってしまった。
「すまんすまん」
「う、動ける。師匠。そのハビット・ジェイルって何です?」
何も知らないらしいアカリにハビット・ジェイルについて一から説明した。
だが、全く何も知らなかった。
ここで初めて知ったが、どうやら全員が全員使えるものでもないらしい。
ツリーさんが一流だから自分で使えるだけじゃなく人に教えることまでできたようだ。
しかし、
「『ハビット・ジェイル』! おっとっと」
動きを拘束した鳥を優しく受け止めるアカリ。
「こうですか?」
「そうそう。すごいな。飲み込みが早い ?」
「ありがとうございます!」
あっという間にハビット・ジェイルを習得した。
この調子ならアカリはきっと俺を超える。はず……。
さて、次はアカトカだ。
レッドドラゴンは物理よりブレス。
だが、まだドラゴンとしては幼いからか使ったことがないらしい。
「さすがにドラゴンの育て方はわからん」
「そうですか……」
代わりに火属性の魔法は使えるらしいので、遠距離攻撃として教えることにした。
「えーと。『ファイアーボール』!」
「グオウ!」
「は、できるよな。アカリ、アカトカができることもとりあえず見せてくれないか?」
「わかりました」
見たところ、俺が本で学んだ内容は全てできるようだし、一部知らない魔法も混じっていた。
となると。
「発動だな。威力は十分だから。はっ! こんな感じで予備動作を少なくして使えないか?」
「グゥ?」
「え、師匠。今のどうやったんですか?」
課題がわかった。
俺は、アカトカに魔法発動の高速化を訓練した。
本来、獣使いの剣術や魔法は本職じゃないため自己防衛にすぎない。
やはり、アカトカに攻撃は任せた方が良さそうだな。
しかし、両者ともに成長スピードがすごい。このままみっちりとストーリ前の時点で鍛えておけば敵を瞬殺してのんびり暮らせるのでは?
いや、うまくいかなくてもアカリの後方師匠面していれば多分破滅は避けられるはず。
ルミリアさんたちと仲良くしていればなおさらだろう。
ゲームではルカラが舐めプからの敗北で一方的に恨んでしまうだけで、俺がセーブすればそれも起きない。
来た時はどうなるかと思ったが、むしろラッキーイベントだったかもしれない。
ユイシャとも最初から仲良くしてくれて、ガス抜きもあったおかげか暴走どころか前より平和。
そして、日が経つごとに感じること。
やはり、俺より伸びがいい気がする。
それと気になることが一つ。
「師匠。どうです? どうです? できてます?」
「ああ。できてる」
「師匠。怪我しました。きのみをください」
「ああ。わかった」
「師匠。私の動きよくなりましたよね?」
「ああ。正直驚いてる」
「師匠。魔法ってわたしにも使えたんですね」
「ああ。初級までなら誰でも使えるらしい」
「師匠。師匠! 師匠!」
なんか近い。あと、ことあるごとに呼ばれる。
いや、元からいた人たちが割と俺との距離近かったから、アカリも合わせてるのかも知れないけど、俺、ルカラなのにびっくりするわ!
勘違いするわ。
まあ。仲良くしてくれるのは嬉しいさ。だってプレイしてきたゲームの主人公だぜ? それが、自分を師と仰いでくれる訳だし。
「いかんいかん。調子に乗っちゃ」
「師匠は真面目ですよね」
「そ、そうでもないさ。アカリも勤勉じゃないか」
「それこそ、そんなことないですよ。でも、師匠にそう言われると、嬉しいです」
また、なんかちょっと間を置いて赤くなりながら言われると、反応に困る。
アカリを弟子にとってから数ヶ月が経ったある日。
俺は一対一で呼び出された。
とうとう何かしてしまっただろうか。
一つ屋根の下で暮らしているが、何も過ちは犯してない、はず。
「師匠。お話があります」
なんだか改まった態度でアカリは言ってきた。
それに、なんだろう。アカリの顔。
俺の表情をうかがうように上目遣いで、ほほを赤く染めて。
いや、絶対にその反応おかしいだろ。相手ルカラだぞ。お前主人公だぞ?
告白でもするつもりか……?
いや、ないないない! でも、何の話!?
「ガオウ!」
「アカトカもありがとうって言ってます」
「そりゃよかった」
「いやー本当に気持ちよかったー」
「ガウー!」
なんかアカリもアカトカも朝から元気だ。
実際はアカリに休むよう言ったのはユイシャと一日過ごすための言い訳なのだが、疑っている様子はない。
むしろ感謝されていて胸が痛い。
「ユイシャさんと師匠って仲良いんですよね」
なんであかりも知ってるんだ? いや、初対面で抱きついてたらそうか。
「いや、ははは。幼なじみみたいなものだし」
「なるほど。やっぱり小さい頃から一緒だと気心知れてるんですね。昨日も付きっきりで見てたみたいですし」
「え」
バレてる。知れてる。
見てたのか。
「でも、今日は初めてってことで譲ってくれましたし、いつまでもお休み気分じゃいられませんよね」
「そうだな。お望みは特訓だろ?」
「はい!」
昨日のユイシャと過ごした時間のおかげで思い出したことがある。
手合わせをしたが、アカリの実力はまだ知らない。
そして、アカトカの方はしっかり見た訳じゃないということだ。
そのため、早速アカリにできることを一通り試してもらった。
「これでいいですか?」
「ああ。ありがとう」
なるほど。おおむねできる様子。
アカトカを連れているし、本契約もできるのだろう。
獣使いのことは一通りできるみたいだが、
「なあ、これは知らないか? 『ハビット・ジェイル』! あ」
「え、動けない!?」
うっかりアカリに使ってしまった。
「すまんすまん」
「う、動ける。師匠。そのハビット・ジェイルって何です?」
何も知らないらしいアカリにハビット・ジェイルについて一から説明した。
だが、全く何も知らなかった。
ここで初めて知ったが、どうやら全員が全員使えるものでもないらしい。
ツリーさんが一流だから自分で使えるだけじゃなく人に教えることまでできたようだ。
しかし、
「『ハビット・ジェイル』! おっとっと」
動きを拘束した鳥を優しく受け止めるアカリ。
「こうですか?」
「そうそう。すごいな。飲み込みが早い ?」
「ありがとうございます!」
あっという間にハビット・ジェイルを習得した。
この調子ならアカリはきっと俺を超える。はず……。
さて、次はアカトカだ。
レッドドラゴンは物理よりブレス。
だが、まだドラゴンとしては幼いからか使ったことがないらしい。
「さすがにドラゴンの育て方はわからん」
「そうですか……」
代わりに火属性の魔法は使えるらしいので、遠距離攻撃として教えることにした。
「えーと。『ファイアーボール』!」
「グオウ!」
「は、できるよな。アカリ、アカトカができることもとりあえず見せてくれないか?」
「わかりました」
見たところ、俺が本で学んだ内容は全てできるようだし、一部知らない魔法も混じっていた。
となると。
「発動だな。威力は十分だから。はっ! こんな感じで予備動作を少なくして使えないか?」
「グゥ?」
「え、師匠。今のどうやったんですか?」
課題がわかった。
俺は、アカトカに魔法発動の高速化を訓練した。
本来、獣使いの剣術や魔法は本職じゃないため自己防衛にすぎない。
やはり、アカトカに攻撃は任せた方が良さそうだな。
しかし、両者ともに成長スピードがすごい。このままみっちりとストーリ前の時点で鍛えておけば敵を瞬殺してのんびり暮らせるのでは?
いや、うまくいかなくてもアカリの後方師匠面していれば多分破滅は避けられるはず。
ルミリアさんたちと仲良くしていればなおさらだろう。
ゲームではルカラが舐めプからの敗北で一方的に恨んでしまうだけで、俺がセーブすればそれも起きない。
来た時はどうなるかと思ったが、むしろラッキーイベントだったかもしれない。
ユイシャとも最初から仲良くしてくれて、ガス抜きもあったおかげか暴走どころか前より平和。
そして、日が経つごとに感じること。
やはり、俺より伸びがいい気がする。
それと気になることが一つ。
「師匠。どうです? どうです? できてます?」
「ああ。できてる」
「師匠。怪我しました。きのみをください」
「ああ。わかった」
「師匠。私の動きよくなりましたよね?」
「ああ。正直驚いてる」
「師匠。魔法ってわたしにも使えたんですね」
「ああ。初級までなら誰でも使えるらしい」
「師匠。師匠! 師匠!」
なんか近い。あと、ことあるごとに呼ばれる。
いや、元からいた人たちが割と俺との距離近かったから、アカリも合わせてるのかも知れないけど、俺、ルカラなのにびっくりするわ!
勘違いするわ。
まあ。仲良くしてくれるのは嬉しいさ。だってプレイしてきたゲームの主人公だぜ? それが、自分を師と仰いでくれる訳だし。
「いかんいかん。調子に乗っちゃ」
「師匠は真面目ですよね」
「そ、そうでもないさ。アカリも勤勉じゃないか」
「それこそ、そんなことないですよ。でも、師匠にそう言われると、嬉しいです」
また、なんかちょっと間を置いて赤くなりながら言われると、反応に困る。
アカリを弟子にとってから数ヶ月が経ったある日。
俺は一対一で呼び出された。
とうとう何かしてしまっただろうか。
一つ屋根の下で暮らしているが、何も過ちは犯してない、はず。
「師匠。お話があります」
なんだか改まった態度でアカリは言ってきた。
それに、なんだろう。アカリの顔。
俺の表情をうかがうように上目遣いで、ほほを赤く染めて。
いや、絶対にその反応おかしいだろ。相手ルカラだぞ。お前主人公だぞ?
告白でもするつもりか……?
いや、ないないない! でも、何の話!?
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