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第一章 魔王討伐編
第27話 ルカラさんすごい!:アカリ視点
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~アカリ視点~
私はアカリ・リレアー。
この頃、魔王の侵攻が激化している。そのため、いち早く多くの人の力になるために獣使いとしての特訓を始めた。
始められた理由は、近くにモンスターに詳しい人が住んでいたことと、その人から本契約にもうってつけというドラゴンの子どもの世話を許可してもらえたからだ
本来は十五歳になってからの約束だったけど、無理を言って受け入れてもらった。
その代わり、すぐに旅には出してもらえず、数年間特訓をつけてもらってから村を出た。
獣使いとしての力は習っていたが、残りの本契約とコンビネーションについてだ。
晴れて村を出た私は魔王との戦闘の最前線へ向かう旅の途中、変わったうわさを聞いた。
なんでも、
「聖獣を見た」
「魔獣も見た」
「貴族が近くの森に放ったのではないか」
とのこと。
どれも信ぴょう性に欠く情報だったが、聖獣や魔獣は人と離れて暮らしているが、力は強いと習っていた。そのため、より魔王への侵攻の対抗策になると考え、私はうわさを頼りに歩みを進めていった。
聖獣、魔獣がいるとうわさのネルングの森近くの村についた。
なんだかひどく荒れていて復旧作業をしている。
「何かあったんですか?」
「魔物が出たんだよ」
魔物、それは魔王の刺客。
ここらは私が住んでいた場所より少しだけ魔王城に近い。だから警戒度合いは低いはずだった。
しかし、私が見た限りでは、小型の魔物が村に出没したというちょっとした被害では済んでいなかった。
家のほとんどは形がなく、地面はえぐれ、生々しい血の跡が残っている。
熟練の戦士や魔法使いが束になってなんとか、そんなレベルの魔物が来た後のように見えた。
こんなところには優秀な戦士が多いという話を聞いたことはない。これだけの被害だ。きっと倒せなかったはず。
私はそう思い、覚悟を決めた。
「その魔物はどこへ?」
「ん? ああ、何が起きたか知らないのか。貴族様の息子が倒してくれたよ」
「え?」
「そりゃおかしいと思うよな。少し前ならデグリアス公爵家の息子と聞けば非人道的と返ってくる。だが、ここ最近、二、三年かな。あの姿を見てたら本当はいい人だってわかるさ」
「そう、なんですね」
うわさと違う。もしかして自作自演だろうか。そう思い、私は急いでネルングの森近くのデグリアス邸を目指した。
誰かまではわからないが、人はすぐに見つかった。
デグリアス邸からほど近い場所に男の子が一人、村娘らしき女の子が二人と一人の大人の女性がいた。
ここには私の師匠のその憧れ、ツリー・ドットマンさんもいると聞く。
聖獣と魔獣の特徴を持つモンスターがいることから、男の子がツリー・ドットマンさんかと思ったら、彼はそのお弟子さんだった。しかもルカラ・デグリアス。貴族の息子の方だった。
しかし、一瞬でも魔物を捕まえて放ち、自作自演していると疑った自分を恥じた。
遠くから見ても丁寧に教えているのがわかったからだ。
「私とあの、手合わせをお願いします!」
とルカラさんの実力を知りたくなったがために、本能的に頼んでしまっていた。
が、結果としては何もできず、あっさりと負けてしまった。
攻撃が届きそうなところに立っているのに、不思議なほど攻撃が当たらない。
そして気づくと先ほどよりも近くにいるのにギリギリのところでまたかわされてしまう。
まるで間合いを完全に制御されているように、動きを読まれているように私の攻撃が当たらない。
にも関わらず、私のスキには反応が遅く、私が回避できるタイミングで攻撃してきていた。
だが、これもあえて私がかわせる速度で攻撃してきていたのだろう。
最後は魔法使いもびっくりな魔法まで使って、実力の差を見せつけられた。
私は地面に座り込んでしまった。同時にこれまでを思い返した。
私が旅をしているのは、力をつけ、魔王の侵攻を止めるため。
ここで、ルカラさんに習うのは私にとってプラスになる。
決めた!
「あの、どうか私たちを弟子にしてください!」
「わかった。望むのならば教えよう」
さすがもう弟子三人もいるルカラさん。私のことも快く受け入れてくれた。
最初は驚いた様子だったけどね。
「四番弟子ですかね?」
「四番?」
「一、二、三、四です」
順番に女の子たちを指差していったが、ルカラさんは首を横に振った。
「わたしは弟子だよ?」
「ああ、だが、そのこちらの方々は」
「萎縮するでない。余はルミリア。聖獣の元長じゃ」
「聖獣の長?」
この女の子が?
「元じゃ」
「あたしはデレアーデ。魔獣の元長よ」
「魔獣の長?」
「あたしも元ね」
この女性も?
「じゃあ、誰が長で? というかどうしてこんなところに?」
ルミリアさんとデレアーデさんはニコニコしながらルカラさんに抱きついた。
「ルカラ殿が聖獣の長じゃ」
「そ、魔獣の長でもあるの」
二人は笑顔だけど、内に炎を秘めているように見える。なんだかすでに熾烈な戦いが始まっているように見えた。
でも、それだけ優秀なのはさっき戦ったからわかる。あの聖獣、魔獣をここまでとりこにするなんて。
「わたしは友だちだもん!」
もう一人の女の子がそう言って二人の間に割って入った。
「余もじゃぞ?」
「あたしだって」
「あはは」
どうやらルカラさんは実力だけじゃなく人望もあるみたいだ。
村のおじさんの言っていたことは間違いじゃなかった。
でも、ルカラさんはこれから私の師匠になるんだ。
私は住み込みでデグリアス邸で働かせてもらいながら、ルカラさん、師匠から教えてもらえることになった。
そんなことが決まった後で師匠は女の子に呼ばれていた。
私はアカリ・リレアー。
この頃、魔王の侵攻が激化している。そのため、いち早く多くの人の力になるために獣使いとしての特訓を始めた。
始められた理由は、近くにモンスターに詳しい人が住んでいたことと、その人から本契約にもうってつけというドラゴンの子どもの世話を許可してもらえたからだ
本来は十五歳になってからの約束だったけど、無理を言って受け入れてもらった。
その代わり、すぐに旅には出してもらえず、数年間特訓をつけてもらってから村を出た。
獣使いとしての力は習っていたが、残りの本契約とコンビネーションについてだ。
晴れて村を出た私は魔王との戦闘の最前線へ向かう旅の途中、変わったうわさを聞いた。
なんでも、
「聖獣を見た」
「魔獣も見た」
「貴族が近くの森に放ったのではないか」
とのこと。
どれも信ぴょう性に欠く情報だったが、聖獣や魔獣は人と離れて暮らしているが、力は強いと習っていた。そのため、より魔王への侵攻の対抗策になると考え、私はうわさを頼りに歩みを進めていった。
聖獣、魔獣がいるとうわさのネルングの森近くの村についた。
なんだかひどく荒れていて復旧作業をしている。
「何かあったんですか?」
「魔物が出たんだよ」
魔物、それは魔王の刺客。
ここらは私が住んでいた場所より少しだけ魔王城に近い。だから警戒度合いは低いはずだった。
しかし、私が見た限りでは、小型の魔物が村に出没したというちょっとした被害では済んでいなかった。
家のほとんどは形がなく、地面はえぐれ、生々しい血の跡が残っている。
熟練の戦士や魔法使いが束になってなんとか、そんなレベルの魔物が来た後のように見えた。
こんなところには優秀な戦士が多いという話を聞いたことはない。これだけの被害だ。きっと倒せなかったはず。
私はそう思い、覚悟を決めた。
「その魔物はどこへ?」
「ん? ああ、何が起きたか知らないのか。貴族様の息子が倒してくれたよ」
「え?」
「そりゃおかしいと思うよな。少し前ならデグリアス公爵家の息子と聞けば非人道的と返ってくる。だが、ここ最近、二、三年かな。あの姿を見てたら本当はいい人だってわかるさ」
「そう、なんですね」
うわさと違う。もしかして自作自演だろうか。そう思い、私は急いでネルングの森近くのデグリアス邸を目指した。
誰かまではわからないが、人はすぐに見つかった。
デグリアス邸からほど近い場所に男の子が一人、村娘らしき女の子が二人と一人の大人の女性がいた。
ここには私の師匠のその憧れ、ツリー・ドットマンさんもいると聞く。
聖獣と魔獣の特徴を持つモンスターがいることから、男の子がツリー・ドットマンさんかと思ったら、彼はそのお弟子さんだった。しかもルカラ・デグリアス。貴族の息子の方だった。
しかし、一瞬でも魔物を捕まえて放ち、自作自演していると疑った自分を恥じた。
遠くから見ても丁寧に教えているのがわかったからだ。
「私とあの、手合わせをお願いします!」
とルカラさんの実力を知りたくなったがために、本能的に頼んでしまっていた。
が、結果としては何もできず、あっさりと負けてしまった。
攻撃が届きそうなところに立っているのに、不思議なほど攻撃が当たらない。
そして気づくと先ほどよりも近くにいるのにギリギリのところでまたかわされてしまう。
まるで間合いを完全に制御されているように、動きを読まれているように私の攻撃が当たらない。
にも関わらず、私のスキには反応が遅く、私が回避できるタイミングで攻撃してきていた。
だが、これもあえて私がかわせる速度で攻撃してきていたのだろう。
最後は魔法使いもびっくりな魔法まで使って、実力の差を見せつけられた。
私は地面に座り込んでしまった。同時にこれまでを思い返した。
私が旅をしているのは、力をつけ、魔王の侵攻を止めるため。
ここで、ルカラさんに習うのは私にとってプラスになる。
決めた!
「あの、どうか私たちを弟子にしてください!」
「わかった。望むのならば教えよう」
さすがもう弟子三人もいるルカラさん。私のことも快く受け入れてくれた。
最初は驚いた様子だったけどね。
「四番弟子ですかね?」
「四番?」
「一、二、三、四です」
順番に女の子たちを指差していったが、ルカラさんは首を横に振った。
「わたしは弟子だよ?」
「ああ、だが、そのこちらの方々は」
「萎縮するでない。余はルミリア。聖獣の元長じゃ」
「聖獣の長?」
この女の子が?
「元じゃ」
「あたしはデレアーデ。魔獣の元長よ」
「魔獣の長?」
「あたしも元ね」
この女性も?
「じゃあ、誰が長で? というかどうしてこんなところに?」
ルミリアさんとデレアーデさんはニコニコしながらルカラさんに抱きついた。
「ルカラ殿が聖獣の長じゃ」
「そ、魔獣の長でもあるの」
二人は笑顔だけど、内に炎を秘めているように見える。なんだかすでに熾烈な戦いが始まっているように見えた。
でも、それだけ優秀なのはさっき戦ったからわかる。あの聖獣、魔獣をここまでとりこにするなんて。
「わたしは友だちだもん!」
もう一人の女の子がそう言って二人の間に割って入った。
「余もじゃぞ?」
「あたしだって」
「あはは」
どうやらルカラさんは実力だけじゃなく人望もあるみたいだ。
村のおじさんの言っていたことは間違いじゃなかった。
でも、ルカラさんはこれから私の師匠になるんだ。
私は住み込みでデグリアス邸で働かせてもらいながら、ルカラさん、師匠から教えてもらえることになった。
そんなことが決まった後で師匠は女の子に呼ばれていた。
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