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幽霊船遭遇
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「さあ出発だ、諸君」
観光で午前中金山を訪れ昼飯に寿司をたらふく食べたドクターは意気揚々と私たちを漁船の停泊場に連れてきた。私は意気消沈していた。李はどちらかと言えば楽しそうに見て取れた。私は目にクマを濃く広げ唇のかさぶたを剥がしすぎて血が滲むという旅行にあるまじき顔面で仕方なくドクターにつれられていた。
漁船を借りたドクターは「僕は船舶免許を持ってるんだ」と小一時間自慢しくさったあと午後3時に出港した。波は穏やかで風は向かい風、太陽はきらめき雲は3割の絶好の日ではあった。だが私には嫌な予感しかしなかった。
「まあ、のんびり釣りでもしようや」
ドクターが持ってきた竿と糸、そして生のサビキからの生臭い匂いが強烈だった。
「ねえ、橘さんは死後の世界ってあると思う?」
李がきいてきた。
「私はね、今までそんなのは信じなかったの。でもこの旅についてきて認識を改めさせられた。だって見えるんですものあなたの背後に」
「な、な、なにが」
李はニコッと笑いながら冗談だといった。
「脅かさないで」
「天国へいきたいわ」
「私はあの世は信じません」
「そうかしら?きっとそのうち変わるわよ」
「命は一度だから尊いんです」
私のスマホがブルッとバイブした。誰からかメッセージかな?そう思ってみてみると、何故かラジオが勝手に起動していた。
「お!早速怪奇現象!」
ドクターが楽しげに言う。そんなはずはないとリターンボタンを押すがラジオは鳴り止まない。何処かの周波数がキャッチされたのか、ザーという砂嵐の向こうで、僅かに音楽が流れていた。
「やった!」
ふいにドクターが叫んだ。
「皆の者みたか!あれが幽霊船だぜ」
ドクターの叫んだ方をみると、ピンぼけしたカメラに写ったみたいなぼやけた輪郭の船が波の合間に壊れたビデオテープを巻き戻しするときみたいにガジガジと点滅しながら現れたり消えたりを繰り返していた。
だんだん近よってくる。
共鳴するように、ラジオの音楽が音量をあげていた。
観光で午前中金山を訪れ昼飯に寿司をたらふく食べたドクターは意気揚々と私たちを漁船の停泊場に連れてきた。私は意気消沈していた。李はどちらかと言えば楽しそうに見て取れた。私は目にクマを濃く広げ唇のかさぶたを剥がしすぎて血が滲むという旅行にあるまじき顔面で仕方なくドクターにつれられていた。
漁船を借りたドクターは「僕は船舶免許を持ってるんだ」と小一時間自慢しくさったあと午後3時に出港した。波は穏やかで風は向かい風、太陽はきらめき雲は3割の絶好の日ではあった。だが私には嫌な予感しかしなかった。
「まあ、のんびり釣りでもしようや」
ドクターが持ってきた竿と糸、そして生のサビキからの生臭い匂いが強烈だった。
「ねえ、橘さんは死後の世界ってあると思う?」
李がきいてきた。
「私はね、今までそんなのは信じなかったの。でもこの旅についてきて認識を改めさせられた。だって見えるんですものあなたの背後に」
「な、な、なにが」
李はニコッと笑いながら冗談だといった。
「脅かさないで」
「天国へいきたいわ」
「私はあの世は信じません」
「そうかしら?きっとそのうち変わるわよ」
「命は一度だから尊いんです」
私のスマホがブルッとバイブした。誰からかメッセージかな?そう思ってみてみると、何故かラジオが勝手に起動していた。
「お!早速怪奇現象!」
ドクターが楽しげに言う。そんなはずはないとリターンボタンを押すがラジオは鳴り止まない。何処かの周波数がキャッチされたのか、ザーという砂嵐の向こうで、僅かに音楽が流れていた。
「やった!」
ふいにドクターが叫んだ。
「皆の者みたか!あれが幽霊船だぜ」
ドクターの叫んだ方をみると、ピンぼけしたカメラに写ったみたいなぼやけた輪郭の船が波の合間に壊れたビデオテープを巻き戻しするときみたいにガジガジと点滅しながら現れたり消えたりを繰り返していた。
だんだん近よってくる。
共鳴するように、ラジオの音楽が音量をあげていた。
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