2,808 / 2,853
DIY、高みへと挑む
違法侵入者 その05
しおりを挟む「──侵入者だと?」
「ええ、すでにダイとガイが接触していますね。あの双子ではないようですが…………情報が掴めません」
「そりゃあ……お前さんの能力でも、ということか?」
非合法クラン『DDD』、その拠点内部。
ある一室にてそう語り合うのは、オーナーとサブオーナーである二人。
空間を拡張し、拠点としての機能をいくつも強化してあるこの場所は、少なくとも外から中を把握できない──それは逆も然りなのだが、それでも彼らは確信を以って話す。
「いつものPKK連中が来たってんなら、分かるよな? 普通に反応するし、マーキングも済ませてんだから」
「ですね。しかし、今回の場合はまったく反応がありません」
「……つまり生体反応もねぇ、人形とか機械なのか?」
「無機物である可能性は高いですね。ただ、その場合魔力反応も無い物なので、その程度ならばダイとガイ程度でもすぐに対処可能なはずなのです」
彼らは殺人も行う闇クラン。
足手まといを必要としないため、新規で加えるメンバーにもある程度の強さを求めており、全員がそれを満たしている。
種族・職業レベル各合計200以上、原人であれば才能が無ければ到達できない難易度のレベルに加え、人に関する傷害事件を必ず一つは経験していなければならない。
全員が犯罪者、そんな彼らだからこそ戦闘力にもそれなりの自信はあった。
少なくとも、無機物系の魔物であれば簡単に追い出せると思えるほどには。
「すぐに他のメンバーも増援に…………何人かが即死です」
「へぇ、理由は?」
「分かりません。少なくとも、地形に影響は及ぼしていないようです」
サブオーナーの就く最上位職【地図王】。
彼が現在、オーナーと共に確認している地図にはその場の地形情報と生体反応の数が描かれており、それをどこでも確認できる。
拠点から外へ出て、侵入者の排除へ向かったメンバーの生体反応が消えた。
つまり、死んだ──まるで普段の自分たちのように、雑魚を処理する速度で、だ。
「…………こいつは面白くなってきたな」
「いかがなさるおつもりで?」
「そんなポーカーフェイス、もう止めちまえよ。お前もやりたいだろう?」
「いえ、私は強敵と戦うことへのこだわりは持ち合わせておりませんので」
「チッ、まあいいや。奪い合うのは面倒だ。アレの無事だけ、守っておいてくれよ」
「了解です、オーナー」
「正体不明の侵入者、こいつは面白くなってきたぞ……!」
オーナー──最上位職【殺人王】に就く男は、これから行う戦いを想像し舌舐めずりをするのだった。
1
お気に入りに追加
648
あなたにおすすめの小説

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~
山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」
母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。
愛人宅に住み屋敷に帰らない父。
生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。
私には母の言葉が理解出来なかった。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。

【完結】会いたいあなたはどこにもいない
野村にれ
恋愛
私の家族は反乱で殺され、私も処刑された。
そして私は家族の罪を暴いた貴族の娘として再び生まれた。
これは足りない罪を償えという意味なのか。
私の会いたいあなたはもうどこにもいないのに。
それでも償いのために生きている。

傍観している方が面白いのになぁ。
志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」
とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。
その彼らの様子はまるで……
「茶番というか、喜劇ですね兄さま」
「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」
思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。
これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。
「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる