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DIY、高みへと挑む
初期チート改良 後篇
しおりを挟む要望書を提出した。
内容は:DIY:の新能力──アイテムの複製をいくつかの条件付きでできないかと出したところ、それはあっさりと叶う。
「あとは願うだけだな……カタログを持って神像の前に行けばいいと」
てっきり、本来のカタログギフトのようにこちらも紙で要望を出すのかと思ったが、どうやら違うらしい。
中に説明が分かりやすく書かれていて、それによればお手軽にこれが欲しいと願うだけで授けられるとのこと。
セーフティは個人識別のみ。
俺か『SEBAS』、風兎が願えばポイント次第でどんな些細な要望であろうと叶えてもらえるようだ。
「──失名神話の神々よ、どうか俺に祝福を授けてください」
そう口で願い、祈りを捧げる。
すると、洞の天井から光が降り注ぎ──俺の体を包み込む。
《旦那様、:DIY:のスキルが変化したと通知が入りました》
「[ログ]……おおっ、本当だ!」
疑っていたわけではないが、やはり目に見える変化というのは喜ばしい。
神の祝福を授かり、変化が生じたという文面がそこにはきっちり記載されていた。
「さっそく[ステータス]を開いて確認しないと……よし、要望通り!」
新たに複製能力を獲得した:DIY:。
これにより、条件を満たした素材であれば魔物だろうと何だろうと、膨大な魔力を捧げて生み出すことができる。
その対価は──同じく素材。
ただし、:DIY:で生み出したものではない、能力を解除しても消えない素材を捧げなければ複製を行うことはできない。
価値と品質を照らし合わせ、天秤が釣り合えば複製は成功となる。
うん、魔力以外の別の代償を用意することでどうにかしてみた。
「素材についてはいくらでも用意できるし、これもまた星の主である特権だよな」
幻の霊草から伝説の鉱石、他にもあらゆる天然の素材をアイスプルでは得られる。
星脈を活性化、神・世界樹の成長、そして【大富豪】の強化で星は活気に満ちていた。
この存在を人族が知れば、戦争になりかねないレベルの危険ではあるけど。
……そもそもの話、俺も蘇生薬やら万能薬が作れるので同じぐらい危ういんだけどな。
「複製対象にできるよう、あとでいろんな素材を片っ端から突っ込んでいこう。住民たちのも協力してもらってな」
《用意はすでに。食べ物や嗜好品と交換で、自らの体の一部を提供するという取り決めとなっています》
「よし、言い方はアレだが、みんなレア素材ばっかりだしな。ふっふっふ、全然新しい条件が重くならないな」
本来、複製するレア素材に必要な対価で苦労するのが定番かもしれない。
だが生憎アイスプルには、文字通り世界に一つだけの価値を持つ者たちばかりだった。
彼らから抜けた毛や爪など、彼ら自身には価値が無いと思えるような品を貰えば、それだけで等価交換は成立する──:DIY:はやっぱりチートだぜ!
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