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DIY、とにかく戦い続ける
特殊耐久サバイバル部門閉幕 その06
しおりを挟む現実
特殊耐久サバイバル部門の入賞報酬を選び終える。
ポイントで回収しなかった、対魔獣用の武器やらフィールドを交換したりした。
「──[ログアウト]処理完了っと。久しぶりな気もするけど、時間は…………うん、全然過ぎてないな」
数時間、その経過を長いと思うモノもいるだろうが……数日と比べれば明らかに短い。
そして、そんな日数単位での時間経過が大きく省略されているのが現実だ。
「高度な科学や魔法に似ているって言葉があるけど、ある意味そんな感じだよな」
ゲームによっては時間を操ることができない場合があることも考えると、それ以上ということになるのか?
まあ、VR技術によって1日が24時間という法則すら若干狂いつつある。
それを嘆く者は皆無だ……いつだって、人は時間の短さを憂いているからな。
ともあれ、ベッドから体を起き上がらせて少し伸びを……うん、凝り固まってないな。
事前に『SEBAS』に看てもらったとはいえ、驚くべき技術である。
「俺はまだ等身大のアバターでプレイしているからいいけど、そんな長時間普段の自分と違うヤツを操作しているプレイヤーなんかはどうなるか分からないな」
幸いにも、うちの家族は全員身長やら体格は同じだからな。
翔と舞は普人ではなく森人や獣人だが、まあ異形に比べれば調整もしやすい。
瑠璃は……うん、人化が前提の宝石獣が最初の種族だったので、初期はその辺の操作性には苦労していたらしいが、今では現人神としての性質もある今では問題無いようだ。
◆ □ ◆ □ ◆
「よし、全員集まったな。確認だが、[ログアウト]をしてから体調が優れないとかそういうことはないな?」
我が家の面々が席に着いたところで、まずはイベント後の体調確認を行う。
これはイベント参加登録で取り決められていることで、何かあれば病院へGOである。
質問に対し、全員が平常であると返答。
嘘を吐いてもVR機本体の方で調べれば分かってしまうし、吐く必要もないだろう……この時点で、とりあえず一息吐く。
「何事も無く終わって良かったよ。昔はゲームは一日一時間なんて言葉があったけど、今回のイベントだと一時間だけで物凄く長くできそうだしな……体に何の影響も無いって、逆に怖い気がするけど」
「父さんは心配性だな。むしろ、ゲームの中とはいえ凄い死んでる父さんの方が心配になるからね」
「それはそう」
「あー。まあ、プレイスタイル的に仕方がないからな。今回、滅茶苦茶戦ったし、しばらくはゆっくりさせてもらうよ」
「あら、それはいいわね。わたしも今度、お休みをもらってゆっくりしようかしら?」
ビクッと反応する俺と子供たち。
瑠璃が能動的に動く、それが意味することはすなわち──とんでもないイベント発生!
何だかんだ俺たち家族は、それに無事とはいえ巻き込まれる経験が多々あるのだ。
……良くも悪くも、いろいろと巡り合う命運にあるのが瑠璃という女性である。
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