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DIY、とにかく戦い続ける
特殊耐久サバイバル部門後篇 その26
しおりを挟む俺と『白氷』で『リビングドール』を使い行う、擬似生物たちのぶつかり合い。
あちらは加えて、『ポイントアポイント』も使いだすのだが……こちらは別の方法で。
「“リビングドールII”、」
「ッ、2!?」
宣言するのは更なる強化。
普段は言わずとも現時点での最大強化状態で借りているのだが、今回はあえて初期状態では無くとも1の状態で借りていた。
そして今、その強化を行う。
同時に、エクリの闇生成に関する二つの能力、それらの出力を増大。
膨大な闇が生み出され、また闇と氷像以外の概念が次々と闇へと呑み込まれていく。
呑まれたモノもまた闇となり、そこから新たな擬似生物が現れる。
「真の主、本来の使い手……まあ、『彼』とでも称しましょうか。その彼は、数を求めたようです。生み出したモノを物とし、媒介とする道を選びました。願望は現実となり、力は方向性を定めました」
「……ってその話、まさかこれの──」
「『プログレス』一つひとつに物語があり、たとえ始まりが同じ名であっても決して同じ果てを仰ぐことはありません。道半ばで潰えるモノもあるでしょうが……極めれば、星の理を逸脱した力へと到達しかねません」
「…………数、多過ぎじゃない?」
質と量。
質を異なる『プログレス』で強化している『白氷』が操る氷像、その数はおおよそ50ほどだ。
対する俺は量──その数は500。
第二段階への移行により、一気に制限数が増えているのだ……これも使用者が、魔石でその方向性に特化させていたからだろう。
質を求めて方向性を弄っていれば、第二段階へ移行した際に50よりも制限数が減る代わりに質が向上していたはずだ。
なお、質を捨てているため、はっきり言ってそこまで強くはない。
──が、それを補うのがエクリ自身の能力なので、そこは気にしていなかった。
「くっ、数が増えたから侵食の速度も凄く速くなってる……」
「数の力、とはまさにこのことですね」
「少し違うんじゃない!? な、ならもうこれにこだわらなければいい!」
周囲の水分を集め、凍結。
新たな氷像を次々を生み出し、それらを操りぶつけていく。
それらは『リビングドール』の対象に含まれておらず、しかし権能で直接操作しているため同様にこちらの侵食を防いでいる。
「さて、長引きそうですね……」
「! あ、忘れてた!?」
「私を放置して目的を果たそうというのであれば、彼らは容赦なく参加者たちを襲うことになるでしょうね……」
「くっ、卑怯な!」
そう、この戦いは本来無意味。
あくまでも、火山の魔獣であるネズミが逃げる時間稼ぎに過ぎない。
それもほとんど果たされており、俺自身はもう撤退しても良かった。
それをしないのは、ひとえに放置したら困る戦力が目の前にいる『白氷』だから。
最悪、何もかも氷漬けにされ退場扱いにされかねない。
機を見て俺も撤退しないとな……うん、それが一番大変な気がする。
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