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DIY、とにかく戦い続ける

特殊耐久サバイバル部門後篇 その25

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 お互い、同名の『プログレス』を起動する権能持ちという異常な現状。
 それらの違いはバージョン……プロトタイプより、俺の方が最新版なのだ。

「むー。もういいもん、結局あたしの方が強いから問題無し──行っちゃえ!」

「では、こちらも──行きなさい」

 杖を振るう雪の妖精『白氷』。
 氷像はまるで生きているかのように、自らが模った動物のように動いている。

 俺はエクリの闇生成能力を活かし、同様に編み込んだ擬似生物たちを動かす。
 彼らは勢いよく『白氷』の氷像たちにぶつかり──じわじわと侵食を行う。

「むっ」

「分かりますか?」

「……このおかしい感じは、あの雪の固有種みたいだね」

「嗚呼、そういえば[スノウエスト]はあの近辺で発生した個体でしたね」

 かつて、北の果てに現れた固有種。
 その出現によって、周囲は凍てつき今なお世界を蝕む雪を生み出している。

 彼女はそんな北の果てに居を構えており、ゆえにその危険性をよく知っていた。
 エクリの能力は、ある意味それをかなり模したもの……把握できて当然と言えよう。

「でも、だからこそどうとでもできるんだから──『ポイントアポイント』起動!」

 権能持ちの彼女が宣言する、使っているものとは異なる『プログレス』の名前。
 それは『プログレス』使いでも不可能な、二種類の併用。

 ──これもまた、というかこれこそがプロトタイプに組み込んだ技術。

 人々の願望を映す機械、その劣化版。
 個々で発現させるその力を擬似権能として世界に示す『プログレス』だが、二つを同時に発現させることは決してない。

 それを外部から、アイテムという媒介経由で使うことで成立させている。
 ……ここまでなら休人たちが閃き、すでに成功例もあるんだけどな。

 二種類、ここで躓いているとのこと。
 まあ、開発から携わる……っていうか真の開発者からあれやこれや聞いている俺と、前提が違うのだから仕方ないよな。

「ふっふっふ、二つの『プログレス』の力もあればこんなのどうってことないよ」

「たしかに、侵食は抑えられましたか」

 起動した『プログレス:ポイントアポイント』の効果は──地位とそれに応じた能力の付与。

 動物たちにそんな地位と能力を与えることで、侵食への耐性を与えたわけだ。
 ……なおこちらも初期版なのだが、こちらは割と効果を発揮してしまっている。

 地位を与える数に制限はあるが、それは強力なものほど少ないというだけで、耐性を付けるだけでいいなら問題ない。

「まさか、そっちも『ポイントアポイント』が使えたり……?」

「ああいえ、できませんよ。今は」

「……今は?」

「まあいいではありませんか。今回は、別の方法で対処いたしますので」

 要は相手は質を高めた。
 ならばこちらは──量で勝負と行こう。

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