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DIY、とにかく戦い続ける
特殊耐久サバイバル部門後篇 その23
しおりを挟む火山の領域、そこと隣接する中立地帯の侵攻を担当することになった。
今回は魔獣が先導して行うため、楽になると思ったが……そうはいかないようで。
「──『白氷』さん、ですか……」
エクリの視界が調整を行い、遠くからでもその存在をくっきりはっきりと捉えた。
掌サイズの小さな妖精、しかし彼女が生み出す冷気による現象は世界を塗り潰す。
火山の魔獣、ネズミ型のソレが周囲をマグマに変えたと思えば、『白氷』の権能範囲に収まった途端に鎮火、 溶岩となって氷に覆われていく。
そうなれば、再燃するにもそれ以上の力を注がねばならなくなる。
他の一般参加者たちの妨害を受けながらでは、そちらに注力することもできず、魔獣は少しずつダメージを負っていった。
「うーん、こればかりは相性ですね……最初に彼女を差し向けてくるとは、余程こちらを早々に処理したいわけですか」
種族は【雪妖精】職業は【吹雪姫】、そして権能『白氷』を有するハイブリッドな力。
まさしく天性の才、氷関連で言えば最高峰だと『騎士王』も言ってたっけ。
そんな彼女だからこそ、マグマを操り不死性を保つ火山の魔獣は相性抜群だった。
その絡繰りであるマグマを即座に消し、再度使えなくなるように処理可能だからな。
その火力を当人にぶつけられれば危ういかもしれないが、お互い的が小さいため簡単には当てられない……何より、他の参加者たちが勝手にダメージは与えてくれる。
彼女一人であっても、正直に言えば最終的には討伐可能だろう。
しかし他の者の手を借りれば、それを更に縮めることができる。
そういった事情を知らない一般参加者からすると、相手の回復を阻害してくれる頼もしい助っ人……ぐらいの認識だろうか。
ある意味間違っていないのだが、実際のところはもっと厄介なものだ。
あえて多くを語らないでいる、普段と違い不満気な様子が逆に多くを語っていた。
「さて、何もしていないというのは後でとやかく言われてしまいそうですしね……そろそろ動くとしましょうか」
周囲にドローンと微精霊たちは展開済み。
予め構築していた術式を『SEBAS』に任せ、俺は擬似スキルの起動を意識しながら一歩──宙を踏みつけ、蹴り抜く。
空歩、そして疾駆。
二つを同時に使い、空を物凄い勢いで走り抜ける。
「お待たせしました。どうやら少し、遅れてしまったようですね」
「──やっと来たんだ。うん、見た目は違うけどやっぱり『生者』だ」
「……見た目は曖昧になるよう、偽装しているのですがね」
「ふふーん、あたしの眼は誤魔化せないってことだよ♪」
魔獣を逃がすためにも、俺が向かった先は『白氷』のすぐ近く。
エクリに憑依した俺の正体をあっさり看破しているのだが、それはいい。
理不尽なのは当たり前、それが『逸脱者』なのだから。
それよりも、その理不尽を前に抗わなければいけない現状を悩まないとな。
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