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DIY、とにかく戦い続ける
特殊耐久サバイバル部門後篇 その15
しおりを挟む侵攻してくる三体の魔獣を相手に、こちらは参加者(裏切り者)だけで対応しなければならない。
うち二体はどうにか被害を抑え込めているのだが、カエル型の魔獣による暴虐を同にも止められないでいた。
「──『試作型増蓄魔銃・壱式』」
そこで俺が使うのは、このイベント中に一から作り上げた一丁の拳銃。
普段はあまり使えない、希少な魔物や魔獣の素材をふんだんに使った逸品だ。
「『形状変更:狙撃』」
形状記憶合金を錬金術で作り上げ、いくつかの形を瞬時に取れるよう設計してある。
これ自体は、ロマンとしていつも俺の武器に搭載しているが……本番はここから。
「“万物闇換”──『装填』」
万物を闇に変換する、エクリ固有の能力に重ねて使うのは銃に組み込んだ機構。
闇属性の魔力が中に注がれていき、銃に刻まれた線を臙脂色に光らせていく。
純度百パーセントの闇の魔力、それが一定量まで溜まった時、次の段階へ移行する。
注がれていた魔力が自動的に遮断され、銃から放たれる光が真紅へと染まっていいく。
「……『回避』」
ここで擬似スキルの発動を宣言。
同時に、どこからともなく長い舌が俺を穿つべく物凄い速度で飛んでくる。
認識を超えた速度、だがそれ以上に優れた体が自動的にその攻撃を躱した。
放ったのは件の魔獣、どうやら危機察知能力的に俺の攻撃を危ういと判断したらしい。
「『加速門』展開、弾丸形式『螺旋』、特殊機構接続──『プログレス:バレットパレット』、着色は『黄』」
だがこちらの準備は着々と進む。
銃内部に空間の歪みが生じ、同時に形成される弾丸の形状が通常の物から捻じれた物へと変更される。
加えて、『プログレス』の擬似権能とリンクすることで弾丸が黄色に染まった。
これで準備は万端、本当は体を固定しておきたかったのだが……さすがに無理だな。
この銃の最大の特徴は、突っ込んだ魔力を勝手に蓄積して増幅してくれるところ。
限度に達すれば圧縮して精製、純度の高い魔力を更に臨界ギリギリまで強化していく。
カエルはとことん俺を追いかけ、裏切り者たちを無視してそれを邪魔してくる。
正直、途中で邪魔されると制御不可能な魔力が辺り一帯を破壊するのでかなり危うい。
それでも、準備を整えてここぞというその時を待つ。
やがてそれは唐突に、カエルが金縛りにでもあったかのように動きを止めたのだ。
「俺たちを無視しやがって……おい、トドメはくれてやるよ!」
「ええ、お礼は後の宴で盛大に振る舞いますね──『射出』」
空間の捻じれにより、銃口から飛び出すはずの魔力が中をループしている。
その都度、加速門から魔力を集め、更に速度も高めていく。
やがてそれすらも限界に達したとき、門の繰り返しが終わり銃口の外へ。
光を超える神速、不可視であろうそれは小さな魔力の礫。
それがカエルを貫く。
貫通した直後は何も起きなかった、そしてその後しばらく何も起きない。
だが、命の気配を掴むことができる者だけが気づくことができる。
──たった一発の弾丸、カエル型の魔獣はソレに殺され息を引き取ったのだった。
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