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DIY、とにかく戦い続ける
特殊耐久サバイバル部門後篇 その09
しおりを挟む魔獣たちが中立地帯を手に入れるために、一定時間の行動不能が求められる。
俺たちの役割は、協力する魔獣が支配領域とするまでの時間稼ぎだ。
「──“万物闇換”、“万闇統一”」
ネズミの姿をした魔獣、それが活動した範囲──の外側で行動開始。
すべてを闇にする能力、そして闇を操る能力を行使しながら周囲を走っていく。
何をしているのか、それを明確にできる者はそう居ない。
傍から見れば闇が増えていくおどろおどろしい光景なのだが、そちらは副次的なもの。
魔獣、そして彼ら同様に特定の範囲に自らの領域を作る者が居れば分かっただろう。
──俺の移動する場所を中心に、自らの領域が闇に奪われていく光景を。
「さて、鬼ごっこの始まりです」
最終的に支配できた領地の量で、奪い合いの結果が決まる。
俺がやっているのは、そうして得た領地をリセットする最悪の行い。
あえてそこを踏んでいないネズミの領土以外が、闇に蝕まれ消えていく。
再度侵蝕すれば支配できるのだが、その間もネズミによる支配が先んじて進む。
「とはいえ、一時的でしかありませんね……それでも、私だけではありませんので、どうにかなるでしょう」
俺が何をしているのか、理解できている者は少ない。
だが過激に暴れるようになった魔獣たちの姿から、何かを察することはできる。
裏切り者たちはそれぞれ力を解放し、放たれる攻撃を防ぎ魔物を倒していく。
一般の参加者たちもまた、彼らの妨害に遭いそのまま時間が経ち──
≪支配完了──『平原』は『火山』へと上書きされていきます≫
アナウンスが告げる、戦いの終わり。
魔獣たちはその時点で行動を止め、自らの領域へと引き換えしていく。
参加者たちはそれでも、抗うように魔獣に攻撃しようとするのだが──ネズミを包み込むような膨大なエネルギーの奔流が、それらすべてを防いでいた。
裏切り者である俺たちが、何かをしたわけではない。
これはネズミがアクセスを済ませたこの場所の地脈、その恩恵なのだ。
「これがネズミの影響を受け、周囲は彼の魔獣にとって住み心地の良い火山の領域となったうえで、彼自身もまた魔獣として更なる一段階強化されるわけですか……一段階でどれほどなのか、確認しておきませんと」
やることも終わったので、空間を転移して行きに使った門の前へ。
すでに何人かの裏切り者たちは、ここを通じて帰還を果たしている。
なお遅れた者たちは現在、参加者たちの憂さ晴らしも兼ねた妨害に遭っていた。
うん、悪いが頑張ってくれ──その後もまた、興味を抱いているんだよ。
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