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DIY、とにかく戦い続ける

特殊耐久サバイバル部門前篇 その48

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 とりあえず、『プログレス』を強くすることも魔獣たちに助力すればできそう、ということを結論付けた。

「『──ヤドカリ、応えてください』」

『────』

 使いのモノが言っていた通り、魔力を籠めた声を発する。
 ……誰に言うべきなのか分からなかったので、とりあえずヤドカリの魔獣に伝えた。

 しかし、ヤドカリからの返事は無い……この伝え方じゃないのか。
 いちおう何度か繰り返してみるが、やはりヤドカリは何も応じなかった。

「で、これからどうなるのですか?」

「──はい、こうなります。お迎えに上がりましたよ、『超越生者』様」

「おや、あの時の……」

 だがそんな俺の下に現れた、丘陵にて俺をスカウトしてきた女性の姿をしたナニカ。
 ヤドカリの背に乗る俺の前に、どこからともなく頭を下げた状態で現れる。

「あの、これはいったい……」

「ふふっ、私がこうして皆様の下へ派遣される理由です。端的に申してしまえば、移動に関する領域が私の性質ですので」

「……なるほど、それは興味深い」

 能力、ともスキルとも言わない。
 領域の性質、それは少なくともこの特殊耐久サバイバル部門の舞台として、配置されているどの領域にも該当しないはずだ。

「つまり、人々が居られるこことは別に、まだ隠された場所があるわけですか……」

「ええ……っと、その前にご確認を。ご協力していただける、ということでよろしいのでしょうか?」

「はい、ただ一つの条件……家族に私自身が手を出さない、それさえ認めていただけましたら充分ですよ」

「なるほど……ご家族の場所はすでに?」

「あくまで、調べた時の場所でよければ」

 はっきり言って、この情報を渡すのはかなり危険だ。
 ルリ……はともかく、子供たちにメタを張れる連中を派遣される可能性だってある。

 それでもこれを伝えるのは、それがいい刺激になるかもと思ったから。
 ……そして何より、多少の相性ぐらいどうとでもなると信じているからだな。

「──以上の位置ですね。この情報も、私がそちらに協力する手土産として受け取っていただけますと幸いです」

「分かりました。ですが……よろしいのですか?」

「私が居ても居なくても、家族は上手くやれていますので。あと、語らずともいづれは分かることですので──強いですよ、うちの家族はとても」

「! ……ええ、それは楽しみですね」

 一瞬、瞳が爛々と光ったのを俺は見逃さなかった。
 魔獣そのものでは非ずとも、領域の性質を使えるというので眷属か分裂体。

 しかも、迎えについても自分がと言っていたからな……うん、何だかんだ強そうだ。
 まあ俺にとってはどんな相手だろうと、判定的には強者なんだけどさ!

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