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DIY、とにかく戦い続ける
特殊耐久サバイバル部門前篇 その44
しおりを挟む魔獣たちを相手に、砦を突破されることなく耐え切っている参加者たち。
俺も微精霊でヤドカリ以外の魔獣との戦いに支援をしているが……まだまだ続くな。
「──おおっ、こりゃあヤバいな」
魔獣たちは領域の主、一つの環境を支配している強者だ。
前回、ヤドカリはただ暴れて帰るだけだったので特にその真価は発揮されなかった。
だが今回は違う。
参加者たちも魔獣に対する策をしっかりと用意し、魔獣を相手にある程度は戦うことができていた……だからこそ、それが起きる。
「ゲームのボスとかによくあるよな、自分に有利な空間を生み出すアレ。うん、それが現実に起きるならこんな感じなんだろう」
ドローンが観測したモノ、それは魔獣を中心として空間が大きく塗り替えられていく壮絶な光景だった。
北からはおどろおどろしい暗闇、剥き出しの死が次々と地面から這い上がってくる。
東からはどこまでも生い茂る植物、尋常ならざる生命力の猛威が緑の海を生み出す。
「丘陵の北側はあんな感じなのか……で、東はやっぱりあんな風に広がると」
支配領域に合わせて魔獣が生まれるのではない、魔獣が居るからこそ支配領域はそれに相応しい姿となるのだ。
現に、先んじて侵攻を済ませた砂漠と氷原に住まう魔獣によって、ドローンが元の姿を知る前に領域の上書きが済まされている。
《旦那様、雫の影響で感知を回避できていますがご注意を。気づかれれば、間違いなく最優先で迫ってくることでしょう》
「了解。解析してみたけど、やっぱり星樹の枝は凄かったもんな」
植物領域の最重要アイテムを盗んだ俺を、魔獣は絶対に許さない。
……そう考えると、阻止するためにもここでの支援は本格的にやった方がいいか?
「除草剤、もう少し濃くしておこうか」
《畏まりました》
撒くだけで弱体化してくれるので、すでに散布して貢献値を稼いでいた。
いづれは効かなくなるかもしれないが……大丈夫、何種類も用意してあるからな。
「で、領域を展開した魔獣たちはこれまでと違う動きを見せるんだよな……ヤドカリは、少し違うけど」
個にして全、全にして個な性質を持つヤドカリは領域の展開をしない。
むしろ、分裂し他の区画の性質を取り込むこと自体が、ある意味それに該当する。
「こうなると、どこまで抑え込めるかで決着になりそうだな……ふぅ、このままなら問題なさそうだな」
「──ええ、まったくもってその通り」
俺は『SEBAS』に声を掛けていた。
だというのに、その声は脳裏では無く耳を通じてきちんと届く。
影の中に潜んでいた俺に気づき、場所を特定したうえで声を掛けてきたのだ。
……さすがに三日目ともなると、トラブルの一つぐらいあるよな。
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