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DIY、とにかく戦い続ける
特殊耐久サバイバル部門前篇 その43
しおりを挟む氷山ヤドカリから飛び出す魔物たち。
転移によって各戦場から飛んできた参加者たちが、その殲滅を行っていく。
「……うーん、暇だなー」
今回、丘陵の中立地帯にはある程度地形破壊を受けてもらいたいので、俺は率先して防衛戦に参加するつもりは無かった。
かといって、特段参加者たちの邪魔をせずともヤドカリはそれを成し得るだろう。
目立ち過ぎるのはアウト、そのためただ影に潜み待っていることしかできないでいた。
「とりあえず、“万闇統一”でかき氷は作れたけど……ふぅ、どうしたものか」
削るのも、それを盛るのもすべて闇。
大変使い勝手の良いエクリの闇生成能力を使い、ヤドカリの殻(氷山)からか一部を拝借してかき氷を作っていた。
味付けは、植物の領域で得た植物の汁を煮詰めた甘い液体。
──そこにほんの少し、渓谷の中立地帯で得た雫を混ぜた代物だ。
「エクリの体だと、頭がキーンとするアレも無いからなー。いいことなんだけど、少しだけ物足りない気もするな」
《こちらの世界では、耐性の有無である程度物理現象を超えることもできますので。かき氷による頭痛……俗称アイスクリーム頭痛もまた、寒さへの耐性を強めることで対処することができます》
「まあ、早めに摂取できるのはいいことだからな──“万物闇換”、どんどん生まれて支援に行ってやってくれ」
そんな俺がやることにした暇潰し、それは他の魔獣への対処限定での支援。
ヤドカリを討伐させることはしないが、他の魔獣には用もないので手伝うことにした。
具体的には闇の微精霊を生み出し、文字通り影ながらサポートする感じだ。
ポーションなどは用意しないが、目晦ましや能力値の強化(微量)などはできるはず。
雫──魔獣から身を隠せる特殊アイテムを使用したのは、その性質を微精霊たちにも付与するため。
魔獣に鋭い感覚があれば、なんやかんやで俺に気づいてしまうかもしれない。
そんな展開を避けるためにも、念には念をと希少なアイテムを使っていた。
「……まあ、ヤドカリの劣化版の方だけど」
…………少しぐらい、レアアイテムを使うことを惜しんでもいいだろう。
蘇生薬を普段使いしている俺だからこそ、エリクサー症候群になってしまうんだよ。
◆ □ ◆ □ ◆
そうして魔獣たちとの攻防を、見ているだけの時間が過ぎていく。
しばらくして魔獣たちが直接攻撃を始めているが、砦は一つも突破されていない。
多少壊れてはいるものの、それでも侵入を拒むという目的は果たせている。
このまま行けば、防衛は成功だろうが……そう甘くないのが、魔獣の怖いところだ。
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