虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、とにかく戦い続ける

特殊耐久サバイバル部門前篇 その40

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 山岳領域最大の特徴、それはヤドカリ型の魔獣が他の領域へ侵攻するごとに、他の領域の素材を背負った新たな分身個体を生み出すというものだった。

「これはどんどん増やそうとして、最終的にヤドカリパニックになる未来もありそうなんだよな……そうじゃなくても、放置しているだけで増えそうだし、定期的に間引きとかした方がいいんだよな」

 とはいったものの、俺自身が間引きをしてしまえば確実に魔獣が排除を選ぶだろう。
 植物の時と同じことにはならないよう、上手な立ち回りが求められているわけだ。

「ある程度素材を集め切った山を背負っているヤドカリは、不要なわけだしな。別の領域に向かっていたら、随時そっちの領域の参加者をアシストしていけばいいか」

《そのために、ドローンを各中立地帯に配置されたのですね》

「魔獣の領域はさすがにな、置いていたらそのまま敵対行動として判断されるのも面倒だし。しかし気になるんだが……魔獣の討伐状況ってどうなっているんだ?」

《現在は未討伐のようですね──ランキングにも、魔獣討伐の欄が新たに増えておりますが、そちらに記載はいっさいございません》

「……あっ、本当だ」

 ランキングも日を跨いだことで、情報が更新されている。
 その中に、前回は未開放で『?』しか表示されていなかった魔獣討伐部門があった。

 部門自体は開示されていたが、討伐数は0となっている。
 いちおう昨日の攻防など、討伐せずとも貢献でランクインはするみたいだけどな。

「で、俺の順位は……うわぁ」

《ベスト10へのランクイン、おめでとうございます。やはり、エリアの八割を埋めることはかなりの功績になりました》

「やり過ぎちゃったな。これって、別に誰でも集めさえすればポイントを得られるんだよな? さすがに初回だけだと……」

《旦那様が最初にロールプレイをしていた方から情報を貰ったように、他者から情報を受け取ることは想定されているようですね。その情報収集を誰が行ったのか、それによって獲得ポイントに変動が生じるとのこと》

 曰く──個人で知る場合、パーティーメンバーが代わりに知る場合、そして誰かと交渉して知る場合の三パターンのようだ。

 まあ、細かく分類わけできるようだが、一度の情報獲得で得られるポイントの量的にはこの三つとのこと。

《旦那様、動き出しました》

「えっと……どこだ?」

《三方すべてです》

 妨害に勤しむつもりではあったが、さすがに戸惑うな。
 山岳領域は西側が行き止まりなので、三方ということは隣接地帯すべてということだ。

 ……とりあえず、有用か無用かのヤドカリチェックをしておこうか。

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