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DIY、とにかく戦い続ける
特殊耐久サバイバル部門前篇 その33
しおりを挟む魔獣(あるいはその眷属)の動きを捉え、その解析を行っている。
どうやら、気配を隠すだけでなく地面と同一化して存在を消しているようだ。
「山だな……うん、動いているというとんでもない一点を除けば、普通の山だな」
大山鳴動、揺れ動く山に乗っての一言。
ちなみに山の中には魔物たちも搭乗しており、このまま境界線を抜ければ魔物もたちもまた外の領域に侵攻していくだろう。
「まあ、だからと言って俺がこいつらを討伐する理由は無いのだけれど」
向かう先は谷の中立地帯、だが俺がそこを護る理由は無い。
むしろ魔物たちと戦う参加者たちを、観測することができるいい機会だ。
「……そろそろだな」
間もなく領域と抵触する。
そうなったときに何が起こるのか、俺はまだ知らない。
魔物たちに、そして参加者たちに見つからないよう存在感を消して待機。
──そして谷との境界線に触れたその時、脳裏に通知が鳴り響く。
≪隣接領域との接触が行われました≫
内容はシンプル、侵攻する側と侵攻される側に互いの接触を告げている。
攻められる側はどの方角から来るのかを即座に調べ、対応しなければならない。
一方の攻める側は、相手がそれを知るまでにどこまで攻められるかが肝となる。
だからだろう、通知と共に山にも移動以外の変化が生じた。
「…………ああ、ヤドカリだったのか」
それは真の姿の露呈。
おそらく、山岳領域から出たことで完全な擬態ができなくなったのもその理由のはず。
だがそれより何より、隠れるよりも動くことを優先したのだろう。
現に山から生えた無数の脚が、激しく動きどんどん谷の中央を目指して進んでいく。
「ヤドカリの詳細の解析を頼む。あと、この侵攻は何を以って終わるんだ?」
《畏まりました。侵攻側は領域の大部分を自らの力で蝕むことで、防衛側はそれを一定時間防ぐことで条件達成です。後者は撃退できない場合の救済措置でしょう》
「そうだよな、追い出せないとダメってなるとかなり大変になるのか……だからこそ、配下も使っているわけだな」
ヤドカリから降りて、魔物たちが次々と谷へと降り立っていく。
様々な場所へ散らばっていき、ヤドカリに触れることで得た魔力を塗り広げている。
「魔獣、あるいはその眷属であるコイツは後退か……これには何の意図が?」
《まだ序盤ですので、それが関わっているのかと。様子見、そして警戒ですね》
「俺としても、観ている方がいいからいいんだけど……さて、どう動くかな?」
魔物たちの動きに対応し、参加者たちが防衛を始めた。
──さて、彼らの実力はどれほどのものか楽しませてもらおうか。
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