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DIY、とにかく戦い続ける
特殊耐久サバイバル部門前篇 その32
しおりを挟む新たな魔獣領域は山岳の領域、無数に山々がそびえており……そのうちの一つが、動いていることが判明した。
「『SEBAS』、魔獣は確認されたか?」
《いえ、各種センサーでの観測では確認されておりません。物理的に山が動いている、その点のみです》
「何かしらの能力か? とにかく、動いている山の近くまで行ってみようか……他のよりかは普通に見えてたんだけどな」
火山タイプや氷山タイプ、ましてや屍の山タイプとは違う。
小高く、ほんの少しだけ獣道によって舗装された歩きやすい緑の山。
だがそんな山でも、勝手に動くという要素が加わるだけで怪しさ全開。
何が理由なのか、それを知るべく解析を依頼した。
「というか、魔獣の正体が分かっていないのが痛いな……いっそのこと、動き始めるぐらいなら攻撃しちゃうか?」
《それは控えた方が良いかと。今は山一つのみですが、旦那様の攻撃をトリガーに全体での行動を開始する可能性がございます》
「うげっ、それはさすがに嫌だな……戦犯とか晒されそうだし、そもそも愚行としてマイナスの評価になりそうだ」
まあ、それを言うと湖での一騒動や森林での枝強奪も該当している気がするけど。
……前者に関しては、それを考慮したうえでの途中結果だったので良しとしよう。
「ただ、エクリの眼で観測できないってことは少なくとも地上には魔獣の姿は無い……あるいは俺の視覚的に捉えられていないってことになるんだよな」
俺が現在間借りさせてもらっているエクリのスペックは、視覚的にも優れている。
各種エネルギーも別途捉えられるのだが、何でも視える……というわけではない。
具体的には、視野の外側。
実際には他の場所で補えるのだが、眼限定の話ならばそうなる。
極論だが、存在していても普段から微生物が見える人間は居ないという話だ。
分かったうえで、それに適した道具を持ち出せば話は別だろうが。
「──ん?」
だからこそ、変化を観測さえできればエクリの眼はそれを正確に把握できる。
ほんの少し、地面に穴ができたのをエクリの高性能センサーは見逃さなかった。
「『SEBAS』──隠蔽系か?」
《いえ、アレは加えて同化も混ざっていると思われます。魔獣としての高い能力、そして領域の性質が、極限まで外部への変化を知覚させないのかと》
「……その割には、山が動くっていう致命的なバレはあるんだよな」
相手が抜けているのか、あるいはそれすらも考慮された高度な企みなのか。
ともあれ、解析を随時行ってもらいながら山に近づいてみることになった。
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