虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、とにかく戦い続ける

特殊耐久サバイバル部門前篇 その23

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 火山領域にて、属性精霊の偏在による術式行使の変化について調査を行った。
 結果、制御術式を使っておけばとりあえず暴走は抑えられると確信する。

「──火山領域から今度は谷か……法則的にまだ中立地帯、その割に殺伐としているな」

 火山に向かう前に訪れた荒野では、いちおう参加者たちが拠点を築きあっていた。
 協力するという概念が、まだ彼らにはあったが……どうやらここは違うようで。

「だだっ広い荒野と違って、遮るモノだらけだからか? お互いに場所を奪い合って、いい場所を確保しようとしているわけだな」

 環境の変質がどのように起きるか分からないが、もしもそのままの地形なのであれば、谷というのは意外といいかもしれないな。

 現実ならばいろいろと問題があるかもしれないが、魔法とかスキルがあるからな。
 重要なのは相手に捕捉されないこと、つまり敵対されないことが重要だ。

「……あーでも、谷の上の方はいちおう共存しようとしているのか。住み分け、とは少し違うだろうけど、お互いを攻めないぐらいの認識にはなっているんだろう」

 谷の上はある程度なだらかで、そこを拠点することもできる。
 ただし、そちらは素材がほとんど獲得できないため、欲しいなら降りるしかない。

 水なんかは谷の上でも回収できるが、魔物も動物も現れないため、草だけで食い繋ぐしかないようで……資源が尽きるなら、最悪上だけで争いが起きかねないな。

「でも、この先がほぼ確実に植物系の魔獣だからな。もし、その個体がこっちを侵略するなら話は別…………誘導とかしそうだ」

《谷からそちらへ赴いた参加者は、ドローンで観測できております。魔獣の気質が分からないため判断はできかねますが、火山領域や周囲の領域との兼ね合いによっては、侵攻の可能性もゼロではないかと》

 そんな話をしている俺は現在、谷の──側面を壁歩きで移動している。
 何だかんだ、上下に居る参加者たちもその中間を注視しようとはしないのだ。

 上から覗かれることはたまにあるのだが、谷にはうっすらと霧が掛かっている。
 それが上手いこと隠れるよう動いており、今のところバレた様子は無い。

「この霧も、何か感じるんだよな……素材として使えるか?」

《解析します……自然魔力によって、変質化した霧ですね。認識阻害の性質を秘めているため、水分を抽出すれば高度な隠蔽のアイテムが獲得可能です》

「水分を抽出する必要があるのか? 谷のどこかにある源泉を汲むとかそういうのは?」

《あくあでも、霧となったことにより発生した性質のようです。以降の状態変化は問題無いようですので、抽出が必須となります……ただし、周囲の霧が消えてしまうので、高い確率で露見します》

 うーん、下に居る連中はおそらくもうこの仕様を知っているな。
 そのうち霧もまた、奪い合いとなること間違いなし……これ、バトルロイヤルだっけ?

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