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DIY、とにかく戦い続ける
特殊耐久サバイバル部門前篇 その20
しおりを挟む一日目に拠点としていた場所から出て、火山領域を精霊がinしているドローンと共に散策開始──といったところで、何者かが俺のことを追いかけてきた。
闇で作った煙幕を張り、すぐさま逃亡。
影を渡って距離を取り、現れた者たちを遠めに見ておくことにした。
『おい、居たか!?』『ダメだ、反応が消えた!』『クソ、逃げ足の速いヤツめ……!』
男三人組、彼らの会話を聞くにどうやらあくまでも狙いは参加者だったようだ。
つまり俺、ではなく退場させやすいなら誰でもいいということ。
一日をやり過ごした参加者から、何かを得られるという確信があったのかもしれない。
そんなわけで、やられそうになったことをやり返すことに。
「“万闇統一・狙撃銃/弾”──『狙撃』」
闇が構築する狙撃用の長銃。
エクリの記憶領域にその構造は正確に刻まれているため、それは現実と何ら変わらぬ性能を発揮できる。
そのうえで、闇という物理法則に囚われない物質によって形作られたこの狙撃銃。
擬似スキルで精度を高め、放たれた弾丸は正しく参加者たちの頭を貫いた。
『お、おい! ……くそ、狙撃か!?』
「二人が限界だったか……まあ、次で終わりだけどさ」
『“岩壁”! これなら……がべっ!』
「はい、終了っと」
狙撃の後に動かなかった俺だが、それは動かずとも仕留められると確信していたから。
自らの周りに岩の壁を築き、安心していたようだが……一歩足りなかったな。
闇の弾丸は物理法則を超越し、上空から弾丸を頭へ届けた。
すべてが闇で作られているからこそ、エクリの支配下として軌道も弄れたわけだな。
「ドロップを確認するか……うーん、ロクなアイテムを持っていないな。一日目を凌げたのも、殺して奪っていたからか?」
真意は定かではない……が、まあ穏便な会話はできそうになかったと思う。
最初に出会ったチンピラロールプレイの参加者ぐらい、誠意を見せてほしかったな。
「……とりあえず、素材集めに勤しむか」
いつまでもここに居たところで、できることは少ない。
……まあ、拠点の入り口にいろいろと細工ぐらいはしておくか。
◆ □ ◆ □ ◆
火山領域でのみ取れそうな素材を求め、至る所を駆け回っていく。
先ほどのようなことがあっても面倒だったので、“孤絶ノ衣”を展開しながらだ。
「暑い場所でしか取れない、ぐらいならここ以外でも取れそうだけど……マグマの中でしか育たない植物、なんてのもこっちの世界には存在するからな」
いつもは:DIY:スキルでいくらでも用意できるが、今回は違うからな。
いわゆる地域限定のアイテムを集め──何事も無く、時は進んでいった。
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