虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、とにかく戦い続ける

特殊耐久サバイバル部門前篇 その18

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 二日目開始早々、『プログレス』で個人情報を偽った状態でアイテムを大量に作った。
 それは今後の布石、下準備を終えてから行動を再開する。

「──切り替え成功。よし、頑張るか」

 エクリの影からフィールドの外へ。
 火山地帯の洞窟で体を休めていたエクリの体に、俺の意識が入り込む。

 休息の方法も特殊サバイバル部門の評価対象になるかもということで、耐性無しでも比較的安全に休める場所を、採掘している間に探してもらっていたんだよな。

《旦那様、どうやら一日経過ごとにランキングが発表されるようです》

「ん? そうなのか……[メニュー]から確認できそうだし、調べてみるか」

 これまでのイベントでも、そうして途中結果を確認できるものはいくつかあったので、それと同じ要領でさっそくチェック。

「へぇー、部門の中でさらに細分化……とはいかないのか。総合評価一括、しかも自分以外は誰か分からない仕様」

 前者はともかく、なぜ後者が分かるのか。
 それは別の画面に表示されている順位と同じ場所に、色付けされて他の参加者とは違うと一目で分かる形で表示されているからだ。

 てっきり、逸脱した連中を強調するために名前は出すと思ったのだが……そう思っていた俺は、現時点での上位入賞者の名前をタップしたところでその理由を知る。

「……あー、評価は総合だけど採点はちゃんと分けられているのね」

 その中には、強さと絶対一概に示すことはできないものも。
 ……どうやって証明すれば、評価されるのでしょうね。

 まあ、EHOなら魔物を討伐した数でも証明できるのだろう。
 だがもっとも手っ取り早いのは、実力が別の形で評価されている奴を倒すことだよな。

「これ、アレだよな。星とか神とかの上位者だけが知れるマスクデータ的な部分で、いろいろと調べている的な。特殊耐久サバイバルなのに、やっていることが実質魔物たちも含めた生存バトルロイヤルになっているだろ」

 そして、そんな情報を基にお偉い様たちが何をするのか……考えたくない。
 ただ一つ分かること、それは──確実に俺は高得点なんだろうなぁ、ということだけ。

「いちおうトップ100の中に入っているわけだが……俺の場合、生産というか魔獣と接触したうえで生還したのが高得点になっているみたいなんだよな」

《衣食住の観点から考えますと、旦那様の一日目の行動はあまり正しくは無い、という評価なのかもしれません。逆に、魔獣という脅威から逃げ延びるだけの力がある、という点が評価されたのでしょう》

 遭遇するだけで点数が入るってのは、いろいろと危ない気がする。
 最悪、それをやり続けた結果として魔獣がブチギレて……なんてな。

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