虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、山に登る

闘仙 その03

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 再び潜ったダンジョンは相も変わらず強敵が蔓延る魔の巣窟であった。
 当然と言えば当然なのだが、それはしょうがないことだろう。

「さて、今回はどうやって進もうか」

 前回は穴を掘って外へ脱出、その後斜面に沿って頂上に到達した。

 だが、今回の目的地は地下。
 前回と同様の方法は難しいだろう。

「あっ、そもそも普通に攻略すればいいか」

 どうしてそれに気づけなかったのだろう。
 まあ、その方法だと死に続けるからこその選択だったんだがな。

 ダンジョン攻略に魔物は付き物。
 それを乗り越えてこその冒険ではないか。

「魔道具も装置も使えるし、たまにはそれっぽいことをしてみますか」

 スタンガンを取りだし、モルメスもすぐに使えるようにしておく。
 結界生成用の鞘には魔道具としての機能が付いている剣を収めて光学迷彩も起動する。

「──よし、それじゃあ攻略だ」



 明確な階数は分からない。
 すでにスタート地点は踏み越えており、今は下へ下へと潜っている最中だ。

 魔物に襲われることは無かったが、それはあくまで行きの道を通っていたからである。

「そして、避けられない状況に陥ったと」

 死亡レーダーで極力戦闘を避けていた、というのも理由の一つだ。
 だが、残念なことに進む方向に魔物の存在があった。

「仕方ない、見つかったなら戦うしかない」

 光学迷彩を信じてはいるがただでさえ仙丹というエネルギーがあるこの地域。
 光学迷彩を破る方法をもしかしたら、俺の知る方法以外で使うかもしれない。

 スタンガンのモードが『気絶』に設定されていることを確認して、ゆっくりと魔物が居る場所を覗いてみる。

「あれは……デミゴブリンか」

 ゴブリンに似た、悪しき魔物──それがデミゴブリンである。
 本当のゴブリンは妖精族の一種で、そのことはエルフの里で働いている間に知った。

 目に見えるゴブリンとの違いは、醜悪な顔と澱んだ瞳だそうだ。
 一番の違いは、体の中に魔核があるかどうからしい。

 緑色の皮膚をした小さな体の種族。
 俺は両方見た上、ゴブリンとしっかり話し合ったことがあるから問題ないが……プレイヤーの中には、ゴブリンを魔物だと判断して襲いかかる奴がいるかもな。

「気づかれて……いないみたいだな」

 その先に居るのは3体のデミゴブリン。
 何やら話し合いながら移動中だが、言語は理解できない。

 ただ錆びたボロボロの武器を手で弄んでいるので、友好的な会話は無理だと分かる。

「射撃してみますか」

 前にスタンガンを射撃モードで使った際、対象が強烈な電撃を浴びて消滅した。
 どうやらスタンガンから電気が離れることで、制御ができなくなったらしい。

 なのでそれをできるように、改良したこのスタンガンなら──

『『『グギャギャギャギャッ!?』』』ビリッ

 弱い電流を浴び、デミゴブリンは倒れる。
 近寄って脈を計ると、確かに生きていることが分かった。
 ──よし、トラウマになってない。

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