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DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会無制限部門終了 その01
しおりを挟む──かくして、闘技大会無制限部門を俺は優勝することができた。
相手の奥の手を封じ、行動のすべてを奪うことで可能とした初見殺し。
同じ手は通じないだろう。
そもそもとして、大規模な儀式を組まなければ使えない術式なので、普段使いなどできないのだ。
「お疲れ様です」
「……からかいに来たんか?」
「いえ、一つだけお聞きしたいことが──まだ、ありましたよね?」
「……さぁ、どうやろぉな」
「魔導士がよく使う固有領域の展開、それに似た技術はいくつもあります……権能の名では無い【陰陽師】の方々にも、そういったモノはあるのではありませんか?」
曰く、魔導解放。
それはかつて、ヴァルハラの英霊やルリが行使した『開帳(仮)』にも似た自分にとって都合の良い領域を生み出すもの。
何が元となっていて、どれが派生なのかは分からない。
だが確信している──逸脱した連中、そのほとんどが自己領域を形成できると。
「まあ、確信しているので構いません。勝手にそう思っているだけですので……ところで今回、なぜ参加しようと?」
「なんや、一つと違うんか?」
「答えていただけないのですし、せっかくですのでこちらを」
「……まあ、腕試しやな。九拿の妖刀も、どれくらい通じるか見とかんとなぁ」
倭島における覇権争い、『陰陽師』は周りから悪辣な手法からかなり嫌われている。
俺は休人だし、満遍なく関わるつもりだから大して気にしていないけども。
……そう考えると、俺もまた嫌われそうなポジションだよな。
それこそ死の商人、実際『プログレス』もあちこちにばら撒いているし。
「それで、満足の行く結果は出ましたか?」
「まあまあや。九拿を動けなくする毒やんて見たこともなかったわ……アレ、外に売っとる?」
「残念ですが、自衛用ですよ。休人には、作り方を知っている方もいるでしょうが……さすがに九拿さんを封じるレベルは、そう簡単には作れないでしょうね」
「……残念やなぁ」
まあ、おそらくだが式神娘のうちの誰かが薬学に精通しているだろうなぁと俺は思っているので、そう遠くないうちに彼女も筋弛緩剤には到達すると思う。
いつの世も、暴君というのは毒関係に注意しておかないといけないからな。
この世界の場合、状態異常全般か……間違いなく、対策はしているはずだ。
◆ □ ◆ □ ◆
「……なんかもう、燃え尽きた感がある」
滞在しているホテルの一室、ベッドにダイブして本音を吐露する。
はっきり言おう、俺は何もしていない……が、それでもやり切った錯覚があった。
だが、忘れてはいけない。
──運営が最後に残した特殊耐久サバイバル部門……絶対問題が起こるよな。
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