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DIY、とにかく戦い続ける

闘技大会無制限部門後篇 その38

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 延命術式“仮死確生”。
 自身の精神、そして魂と呼べる部分を眠らせる術式……これをシステム的に説明するならば、蘇生可能時間が延びる。

 もちろん、これを使えば俺の意識はブラックアウトして何もできなくなるのは必然。
 それでも使う意味がある……頼れる万能執事AI『SEBAS』が、準備を終えた。

『『セバスチャン』による、同意による主導権の移譲……完了──“テイスト・オブ・バトラー”を起動、指示を遂行します』

 何も無い場所で、ただ『SEBAS』が映す俺の視界から見える光景を眺めるだけ。
 本来、体の主導権を何らかの形で奪われた休人は、そうして隔離空間に飛ばされる。

 だが俺と『SEBAS』は同意の上、奪い奪われる関係でもない。
 擬似的な共存──それにより、この空間もより戦いに参加できるモノへ作り替わる。

「んじゃあ、こっちも指示通りにやるとしますか──“念動魔手”」

 魔力で生み出す複腕。
 肉体という枷から解き放たれた俺は、通常よりも高い処理能力で術式を行使できる……そんなに変わらないけど。

 生み出した腕を舞台の至る所へ伸ばし、また手による仕込みを行っていく。
 精度は器用さによるごり押し、一部の動きは半自動的に行われるよう事前予約済みだ。

『なに……これ』 

「まあ、楽しんでいってくれよ……どうせ聞こえてないだろうけど」

 そうして各所に配置された手が、いっせいに次々と機敏に指を動かしていく。
 まるでそれは、何かを模るように──印を結んでいる。

『! 九拿、すぐに止め──』

『──“天淵黒亡エクリエンド”!』
『──“オルタネーション”、“リファイニング”!』

 倭島に伝わる術式行使の技法の一つ、ゆえに先に気づいたのは『陰陽師』。
 だが上空に居る彼女は、エクリとカエンに阻まれそれを阻止することはできない。

 代わりに指示を受け、動く九拿。
 どれか一つでも手を掻き消せばいい、なので彼女が選ぶのは──すべての殲滅。

『──『刻め、ぃぎっ!』

『『死緩の薬液』、そして[モルメス]。加えて旦那様の防御無視固定ダメージ、さすがの神子とて動きは止まります』

 だが、それを防ぐのは『SEBAS』。
 先ほど用いた筋弛緩剤を死因とした、お馴染み『死天』謹製のアイテム。

 それを[モルメス]に塗って使えば、すでに耐性を得ているであろう九拿ですら強制的に止めることができる。

 また、語ってはいないが[称号]も対九拿用のカスタムがされている。
 ──『神殺し(擬)』、神子である九拿にはピッタリな[称号]だ。

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