虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、とにかく戦い続ける

闘技大会無制限部門後篇 その34

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 どうにかして、一火を退場させた。
 だが、その結果として『陰陽師』が更に強化されてしまう……それでもそうしなければならない、そんな予感がしたのだ。

 一方、九拿と闘っていたアリアに助言を一つしておく。
 神子である彼女を倒すため、使わないでいた機構を許諾した。

『──承認確認。[アライバー]、霊体顕現機構を実行。機体最適化、兵装着装』

 カエンに与えた液状金属、その他にもいくつか開発していた金属が[アライバー]には組み込まれている。

 そのうちの一つ、レムリア産の金属は霊体への親和性を高く秘めていた。
 結果、[アライバー]の内部に限り宿った人格であるアリアは顕現する。

 俺がかつて見た少女──によく似た、髪や瞳の色だけが異なる姿で。
 現状や用いた金属やらのせいか、2Pキャラみたいになっているんだよな。

「──『千変宝珠』起動、『擬・武神』プログラムとのリンクを実行……極秘奥義“神風吹き荒ぶ”を展開します」

 仕込みはそれだけではない。
 術式を保存する『愚者の石』、限定的にだが戦闘データを組み込んだ旧『擬・武神』のプログラム。

 俺が用いるように武器が展開されるのではなく、それが形作るのはかつての【神風兵】が使っていた武装の数々。

 魔力であるがゆえに、千変の名に違わずあらゆる形態と性質を付与できるがために。
 アリアには【神風兵】の操縦スキルのEXレベルがあるため、扱いに補正が掛かる。

 そして何より、極秘奥義。
 命を捨てることで、使用者の機体を超強化するこの能力……アリアが用いる場合、死ぬというリスクが無いため使い放題だ。

 それでも使っていなかったのは、ひとえに用いることができるエネルギーに制限が設けられてしまうから。

 強化量の計算には、最大値の削減が含まれているため、早めに使うとできなくなることが多くなってしまうのだ……ここでそれを使うのは、アリアなりの判断なのだろう。 

「戦闘開始」

「むむっ、厄介」

 行われる超高速機動による戦闘。
 兵装により爆発的な加速力、それを完璧に制御しての最適解を選び取るアリアの攻撃。

 九拿はそれを神懸った身体能力に加え、最低限の技巧のみで対処している。
 未知であろう武装でも、類い稀なる反射神経だけで回避と反撃を選んでいた。

「ここでお邪魔を──“忍織貼替”」

「ッ」

「攻撃命中」

 上手く対処していた九拿を妨害するべく、術式による知覚の書き換えを実行。
 普段ならば意味も無い、というか無効化されそうだが……今は別。

 余計な情報に気を逸らし、躱せるはずだった攻撃を九拿は受ける。
 畳みかけるアリアだが、妖刀の力を解放して強引に距離を取った。

「……邪魔」

「ですので、お邪魔をと言ったではないですか」

「むぅ……」

 そんな嫌そうな顔をされてもな……仕方ないじゃないか、真っ向から戦っても勝てる可能性ってほぼ無いのだから。

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