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DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会無制限部門後篇 その31
しおりを挟む九拿はカウンター待ちの俺を無視して、一火を相手取っていたカエンとアリアを狙う。
前者は物理無効の液状金属の体で躱し、後者は柔の剣で自壊しつつ捌いている。
壊れた機体を“死機供存”で自動修復、というのも極級職だけあって無制限で可能。
また、アリアの素体である[アライバー]自体の機構もあるのでそれなりに持つ。
「何より、私もただカウンターをするだけではありませんからね──“再生入器”」
俺に攻撃を向ける者は誰も居ない。
俺を警戒していないわけではないが、それ以上の優先度を持つ者を相手取らなければならないからだ。
手持ち無沙汰な状態にある俺が、では何をするかという話。
まずは装備を変更、体の所々に銃火器や魔装の類いをセットしておく。
「そして──“全填万載”」
『ッ!?』
「私からのプレゼントです。さぁ、どうぞお楽しみください」
それぞれのアイテムを起動させ、周囲に解き放った直後に能力を発動。
すると、バラバラな方法と時間で再使用可能になるアイテムが全部使用可能となった。
再び使用しても、今度は能力を宣言せずとも自動的に再補填。
何度繰り返しても、それは制限時間が訪れるまで終わることが無い。
──“全填万載”。
持ち主は『荷搭竜[ドラグキャリー]』、武装した竜である。
彼もまた、風兎と共に森の中に居た住民の一体……昔はトカゲサイズだったんだよな。
だからだろう、彼はその竜としては小柄なサイズを武装で補う道を選んだ。
俺もそれに全面協力し、ありとあらゆる武器の提供を行った。
中でも、彼が気に入ったのが銃火器や魔装などの遠距離攻撃ができるタイプ。
それらを愛用し、そのうえで超越種に至った結果が『荷塔竜[ドラグキャリー]』。
「本来であれば、彼自身の能力で装備全般も強化されるのですが……そういう仕様なのだから、仕方ありませんね」
ちなみに、今の[ドラグキャリー]は能力の力で戦艦サイズになれる。
だが“再生入器”で写し取れる能力は決められており、それらは対象外。
最大級の能力限定、その補助となる能力が使えないからこそギリギリ成立している。
そちらも使えれば、俺は巨人として振る舞えたかもしれないな。
閑話休題
無い物ねだりはせず、純粋な火力勝負でとにかく打ちまくる。
まあ、はっきり言って誰を対象にしてもさして意味は無いのだけれど。
なので本命は別、ばら撒かれる煙幕やらそこに仕込まれた毒など様々だ。
うちの援軍、誰も彼も状態異常とは無縁なのでその点は問題無いしな。
「……これで少しは効いてくれればよいのですが──っと、さすがにこれ以上は許してはくれませんね」
スッと回避行動に入れば、先ほどまで居た場所を抉るような斬撃が通る。
さすがにアリア一人で、九拿を相手取るのは難しいようだ。
彼女については状態異常が通用しても、僅か数秒だろうし……。
上空に居る『陰陽師』も微妙、人形である一火も……うん、あんまり意味無いな。
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