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DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会無制限部門後篇 その30
しおりを挟むカウンターによって、ギリギリ九拿を相手取れていた俺。
しかし、それ以外できないことに気づかれて、ピンチに……とはならなかった。
「まずは、あのドロドロから」
俺は一歩も動けず、彼女がターゲットとして定めた味方──カエンの下へ向かおうとするのを止められない。
不意を突くためか、グッと姿勢を前のめりにしてから、瞬時に地面を蹴って移動。
爆発的な推進力と共に、一火に集中するカエンを背後から一撃で──
「──ん?」
「無駄です」
カエンの体は『プログレス:メタルスライム』によって、物理攻撃を無効化する仕様。
だが妖術混じりの一火の攻撃、そして神の力が宿る九拿の攻撃は通用する。
ゆえに、カエンは回避を選択──振るわれた九拿の拳を、周囲だけ液状化する形で。
つまり、拳撃の対象範囲のみ予め空洞化することで、ダメージ判定を避けたのだ。
「ちょ、九拿……お主!?」
「……ごめん」
そのとばっちりを受けるのは、他ならぬカエンと戦っていた一火。
拳撃の余波が、カエンを通して弱まることなくダイレクトに彼女の下へ。
同じ式神ということで、ダメージの方はあまり期待できない。
だが、風圧──吹き荒れる暴風を前に、一火の姿勢は崩れてしまう。
カエン、そして共に戦っていたアリアはその隙を見逃さずに行動開始。
一火をさらに追い詰めていく──しかしここで、九拿が妖刀を握り締める。
「──『刻銘』」
生み出すのは風の檻、一火を狙う二人を阻むように展開された。
結果、カエンは液状金属ということで先へ進めたが、アリアは壁に阻まれてしまう。
一人は数を減らし、仲間が複数人に襲われる状態を止めさせたわけだ。
そして、自分の攻撃が通用するアリアを先に潰そうとしている。
「こっちなら、攻撃が通る?」
『────』
闇を自在に操っていたエクリ、自らを液状金属に変換していたカエン、そして俺。
たしかにまともに妖刀の攻撃を受けた者は居らず、逆にアリアにはそれが無い。
それは正しく、攻撃は通用するだろう……こちらが何もしなければ。
妖刀が振るわれ、アリアも着装したビームブレイドを重ね──ぐにゃり、とズラす。
「ん?」
『──』
エクリが集めた戦闘データ、俺はそれをカウンターのために用いていたが……同様の情報を基に、アリアはそれを回避に用いる。
何でも断つ剛の剣技、それが九拿の剣。
対するアリアの剣は柔、あらゆる剣を受け流すための動き。
九拿の、神子のスペックで行われる剛の剣相手だと、受け流しも完璧ではない。
隙を作るために、自らを傷つけてしまっている……が、そこはアリア。
職業能力“死機供存”によって、機体の損耗は自動で修理されていく。
目標達成──つまり勝利まで、それが止まることは無い……時間稼ぎには最適だ。
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