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DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会無制限部門後篇 その29
しおりを挟む神子の式神である九拿、彼女の神懸った膂力に耐えるべく使用した“貼地路在”。
これにより、足場を確保できた俺は、力の流動を行いカウンターに成功する。
「……とはいえ、未だ完成には至っておりませんがね」
足場があるから、つまり踏み止まれる場所が無ければ一度目の時と同様に、物理法則に従い俺が紙のように吹き飛ばされるだけに終わってしまう。
なので対処はとっても簡単、俺を現在位置から引き剥がすだけでいい。
あるいは術式の無力化でも可能なので、割と弱点は多いとも言える。
「──なら、強引に突破するだけ」
「さて、できるものですかね?」
「むぅ、失礼」
「これはこれは、大変申し訳ございません」
妖刀の柄を握り締め、力強く振るう九拿。
何やら再現を行使しているようなので、先ほどとまったく同じというわけではない──そこで俺の夢幻刀が光る!
「ッ!?」
「上手くいったようで……お返しです!」
夢幻刀──それはレムリア世界とパシフィス世界の技術を用いた、幽幻の武器。
事象に干渉するこの刃は、肉体を斬らずに概念のみを斬ることができる。
……が、だからといって俺の技量では何でも切断できるわけでは無い。
それでも、触れること──衝撃を肉体で受け止めることはできる。
なのでそれもまた、カウンターの対象。
受けたダメージを体内で循環させ、増幅させた後に再び体外へ放出──九拿にダメージとしてぶつけられた。
お陰でエクリと闘っていた時以上に、彼女は負傷しつつある。
そりゃあ自分自身の攻撃を、微量だが増幅した状態で喰らっているわけだし。
「『生者』、なかなかやる」
「これはこれは、貴女様にそのように言っていただけるのであれば光栄です」
「……生意気」
「それでこそ、『生者』と名乗れます」
何をしてもカウンターされる、そう考えたのか九拿もこちらに無鉄砲に突っ込んでくることは無くなった。
そしてそれは正解、あくまでカウンター前提なので俺の方からは動けない。
いちおう“天閃腕”のように、衝撃を自分で汲むことはできる。
だがその程度だと、九拿に対して有効な出力を出すことはできない。
あくまでも、彼女自身の攻撃だからこそカウンターとしてダメージを発生できた。
「……こっちが何もしないなら、何もしてこない?」
「さて、それはどうでしょうか。たしかに、貴女様に対してはそうかもしれませんが……これはチーム戦のようなものですので」
「うん、それはこっちも同じ」
「……そのお考えは、少々甘いかと」
俺と闘うことを止め、彼女は地上に居る一火と闘う二人を狙うようだ。
普通なら間違いではない選択肢……だが、今回に限っては別だな。
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