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DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会無制限部門後篇 その25
しおりを挟む固有種の力を借り受ける遺製具、そして殺した固有種を一時的に蘇生する妖刀。
二つのアイテムを使い、畳みかけるように固有種という世界の猛威で攻撃していく。
「[ガルマカルダ]、貴方ならば分かるはずです。彼の者に報いの焔を」
『ピィイイイ!』
空を舞う黄金の羽を持つ鳥──ただし、そのサイズはスズメほど。
人造固有種『赤迦灼羅[ガルマカルダ]』は、俺の指示を聞き受け行動に移る。
本来ならば妖刀で蘇生された個体は、俺に殺されたという認識を保ち、蘇生した直後に反抗するというのが大きな力の代償となっているのだが……人造固有種は別。
生まれから俺に従うようプログラミングされており、むしろ蘇生される前提で自らを定義付けている──エクリと[エクリエンド]の在り様など、矛盾についても解決済みだ。
それはさておき、[ガルマカルダ]が狙うのは上空──嵐が掻き消え、五体満足な姿を会場中に見せつける『陰陽師』の下。
ただし共に居たはずの八倶、そして乗り物になっていた五恵の姿は無く、新たに呼び出したであろう式神の上に載っている辺り、万全というわけでも無いのだろう。
まあ、先ほどまでの俺と同様、実は隠れて隙を窺っています……なんてことにならないよう、『SEBAS』が調べてくれているはずなので、そこは気にしないでおく。
「いやあ、ご無事で何より」
「……よく言うわぁ」
「貴方様を相手に、慢心などできるはずがありませんので。さて、どうやってといった無粋な発言はしませんが、そう何度もできないことをお祈りさせていただきましょう」
「そう、やね!」
語尾が強くなったのは、そのタイミングで[ガルマカルダ]が動き始めたため。
離れた場所から拡散する形で火炎放射が行われ、鳥の式神を回避のために動かした。
さすがに式神少女たちほどのスペックは無いのか、回避しながら[ガルマカルダ]に急接近……みたいな動きはできないでいる。
それでも『陰陽師』からの支援は行われているようで、いっさい被弾することなく一定の距離を保ち続けていた。
「このまま時間稼ぎをしていても良かったのですが、試合ゆえの制限もありますので……一気に片を付けましょう」
格好をつけ、指を鳴らす。
それだけで[ガルマカルダ]はこちらの意図を汲み取り、行動してくれる。
先ほどから放っていたのは、ただの炎に非ず──固有種らしくチート臭い、触れただけで相手に状態異常を付与させる、そんな危険な炎だ。
しかし、それだけならば同じく人造固有種である『白空填賜[ギフチャージ]』と似たようなものなのだが、本質的には……うん、今回は似た感じで使うので置いておこう。
簡易召喚では発揮できないその力、だができることもあった。
一気に高度を上げ、結界が覆う天井付近へ辿り着くと──舞台すべてに火を解き放つ。
「回避されるのであれば、それができないレベルの制圧を。『陰陽師』さん、そして九拿には通用しないでしょうが……はてさて、他の方々はどう防ぎますか?」
まあ、それは俺たちも同じなんだけど。
でも大丈夫、頼れる『SEBAS』が先んじて結界を構築してくれているからな!
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