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DIY、とにかく戦い続ける

闘技大会無制限部門後篇 その21

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 適性皆無な俺でも用意できた、数少ない援軍の一人。
 俺の愛機に宿ったその人格に、アリスと名付け──出撃する。

「な、なんじゃコヤツ!?」

『──『ビームブレイド』抜剣』

 カエンを相手取っていた式神の一人、人形の付喪神たる少女が驚き慌てふためく。
 機体は俺が何をするまでもなく、剣身が光で構築された武装を展開し──振るう。

 式神たちはそれを受け止めず、すぐさま回避行動に移った。
 それが危険だと判断したのだろう、だがそれだけでは足りない。

『『ロックオンレーザー』、“決死必敵デッドロック”』

 アリア、そう名付けられた人格の基となった魂魄がかつて就いていた職業【神風兵】。
 その職業の特異さ、何より俺の下に行きつくまでの過程がそうさせたのだろう。

 今なお、焼き付いた魂魄は【神風兵】の職業能力を行使することができた。
 そしてそれは、[アライバー]そのものに搭載された機能と組み合わさっている。

 本来、一つの対象にのみ施すことができる“決死必敵”。
 それを『ロックオンレーザー』により式神たち全員を対象化、ターゲットに指定した。

「……というかまあ、普通に喋ってるな」

 明らかに[アライバー]の装備の名称も言えているし、過去の台詞をそっくりそのままなぞっている……というわけでもない。

 名付けにより、音声を出すことができるようになったのだろう。
 ……今までも実はできていた、なんて話は聞きたくない。

 ビームブレイドを振るった後、アリアは上空へ向かおうとする。
 だが、式神たちもそれを防ごうとし──金属の壁に阻まれた。

「行ってください!」

『────』

 カエンが自らに置換している液体金属を操り、道を創り上げたのだ。
 アリアはがら空きになった道を通り、上空に居る『陰陽師』の下へ。

 一方、地上に居た式神たちもただ黙ってそれを通すわけではない。
 カエンの妨害を躱し、アリアを主の下へ向かわせないために動く。

「合わせよ、四瑠! 二羅、六緒は行け!」

「ええはい、分かりましたよ!」

 式神の一人、鬼の少女の下へ向かう猫と兎の少女たち。
 その両腕に呼ばれた少女たちが乗ると、力強く空へ打ち上げられた。

 カエンもある程度高めに設定していた壁。
 だがそれ以上の高さで少女たちは飛んでいき、アリアに攻撃を行う。

 それ自体はアリアも機体の向きを変えて防いだのだが、推進は止まり『陰陽師』を攻撃できなくなってしまった。

「……やはり、一火はここぞという時に頼りにされているようですね。カエン、彼女を優先して排除できるか狙ってみてください」

『はい、了解しました』

 念話を通じ、カエンに対象を指定。
 地上で蠢く液体金属が、少しずつ一火を優先して狙うように。

 上空でもアリアを妨害するため、空中を蹴り仕掛けていく二人の式神少女。
 それを迎え撃つため、機体の武装を展開するアリア。

 ──そのすべてを無茶苦茶にする、強烈な一撃が舞台の端から放たれた。

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