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DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会無制限部門後篇 その20
しおりを挟む闇を操るエクリに加え、“検索召喚”で呼び出したカエン。
彼(?)が『プログレス』で纏う金属は、新たに創り上げた『超合流星金属』。
球体状に形成された防御膜の中で、俺は守られながら戦況を窺う。
地上でぶつかり合うエクリと九拿、カエンと式神たち六人。
彼女たちの主である『陰陽師』は、辰の式神少女と亀の式神少女と共に上空へ。
それらすべてをドローンが映し出し、金属の球体の中で俺はまったりしていた。
「いやまあ、うん。俺にできることって意外と少ないってことになったんだよな……」
いちおう職業能力と[称号]効果による細やかな支援ぐらいは、可能ではあるのだが。
彼女──『陰陽師』が持つ式神への支援補正は、最高峰レベルなので遠く及ばない。
神子の式神である九拿に限れば、それでも完全な力の解放はできないと『SEBAS』は言っていたが……はっきり言って、その現状ですらエクリが上回れずにいる強さだ。
「キャパシティ枠的に、呼ぶことができるのは精鋭のみ。あんまり使いたくなかったが、そうも言ってられないか……」
ごそごそとアイテムを漁る。
大会の仕様で回復アイテムを使うことは禁じられているのだが、[インベントリ]自体は問題なく使用可能だ。
灰色に染まり、取り出せないポーションの類いをスルーして画面を操作。
目的のモノを発見すると、取り出すことを念じ──目の前に顕現させる。
「わざわざ【霊媒士】に就いたんだ、仕事をしてもらうぞ」
『────』
「任務は対象:『陰陽師』の排除。場所は事前情報通り闘技場、生存可能範囲が限定されている状況だ。冒険世界の『超越者』が相手であり、式神使いとして固有種級の式神たちが確認されている……イケるか?」
『────』
返事は無い、そこに人の姿も無い。
だが俺は話しかけるように、その無機質な金属の塊に声を掛ける。
──生き物ではない無機物、だがその声に応じるように、ソレはこちらが何もせずとも任務を始めるべく動力源を起動させた。
「そうだ、名前を言う約束だったな。一番最初の任務、そこで言うって決めていたしな」
『────』
「お前の機体名、[アライバー]とはまた別の名前だ。これからはお前のことをこう呼ぶことにする──『アリア』」
瞬間、かつて切れそうな蜘蛛の糸と称した目の前の機体──その中に居る存在との結びつきが、より明瞭なモノのになったことを実感した。
そう、蜘蛛の糸のようなか細きものでは無くなり──羊毛ほどの太さに。
…………いやうん、適性が無いからそんなに変わらないのだ。
「カエン、[アライバー]改め『アリア』を出撃させる。発進させてくれ」
『了解です、マスター』
「それじゃあ、頑張ろうな」
『────』
機体──アリアは機体の起動準備を完全に終え、背後のエンジンを噴かせた。
俺たちは開かれた金属の球体から飛び出して、任務遂行を行っていく。
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