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DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会無制限部門後篇 その18
しおりを挟む更なる考察をすることも止め、気分転換として闘技場外へ赴いたりもした。
アイスプルを他の星に奪われないため、負けられないことを再認する。
──そして翌日、『陰陽師』を相手取る闘技大会開発技部門の決勝戦の幕が開く。
「準備の方はどうだ?」
《はい。すでに目標座標にて、待機しているとのこと》
「そうか……やっぱり、いっしょに入場ってのもアレだったからな。あの術式、使いどころに困っていたはずなのに、最近急に用途が見つかってきたな」
《禁術ですので、乱用は控えた方がよろしいのかもしれませんが……今回ばかりは、使わざるを得ないのでしょうね》
そんな会話を『SEBAS』と済ませ、入場口から舞台へと向かう。
すると俺を迎える大歓声、そして実況によるアナウンスが聞こえてくる。
≪赤コーナー、冒険世界より参戦。まさかの二連p……じゃない。開発技部門のノイズ選手と同じくして、決勝戦の舞台に謎の選手の登場だ! 最後まで中身は謎のままなのか、それとも暴かれるのか──ノーネーム!≫
開発技部門は【魔導勇者】、そして俺ではない誰かとの同率優勝じゃないか(適当)。
そして、ノーネームも名前が無いんだから俺とは別人さっ(ry!
舞台の上に『陰陽師』の姿は無い。
ならば、と『SEBAS』が先ほどまで整えていた仕込みを舞台に施していき、その瞬間を待つ。
≪青コーナー、同じく冒険世界より参戦。九人の可愛い式神たち、だがその強さもまた折り紙付き! そんな彼女たちを従え、ついにここまでやって来た! 敵はまさに不死身、彼女たちはどう戦う──『陰陽師』!≫
俺の向かい側に、出現した転送陣。
決勝だから仕込んだからか知らないが、普段の魔法陣っぽいタイプでは無く陰と陽のデザインが描かれた和風な仕様。
そこから現れる着物姿の女性。
こちらへの警戒からだろう、隣にはすでに式神を一人侍らせていた。
「お久しぶりどす、『生者』はん」
「ええ、お久しぶりですね。前に会ったのはいつでしたか…………そう、たしか『辻斬』さんとお伺いに上がった時でしたね」
「アレには豪い驚いたさかい、お陰で未だにれべるが下がったままや。もう、あんなことせんといてな」
「何も無ければしませんとも。あの時、私はそれを必要だと判断しました……だからですかね、貴女が彼女を必要としたのは」
そう言って、俺が視線を向けるのは隣に居る式神──九拿。
最初から居る、つまり初手から俺を殺す気満々ということだ。
「お久しぶりですね」
「……ん」
「あの時は妖刀をいくつか譲っていただき、感謝しております。お礼がしたかったのですが……これまでそれもできず、申し訳ございません」
「気にしないで…………あっ、でもみんなが言ってたお菓子は欲しい」
「ええ、後程ご用意いたしますよ……他の方たちの分も、もちろん」
今回ばかりはお菓子での買収は無理かもしれないが、遺恨を残さないためにもできることはやっておかないと……この試合が終わっても、良好な関係を続かせたいからな。
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