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DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会無制限部門後篇 その16
しおりを挟む場外についての確認。
創作物の知識から、舞台外の地面を相手にぶつけた場合に退場扱いなのかを聞いてみたが……残念ながら無意味なようだ。
《ですが、まったく無意味というわけでもないようです。地面をそのまま押し付けるという方法はダメでも、場外に出た者に対して地面と接触している足場を押し付けることで、退場扱いにできるとのことです》
「……えっと、どういうことだ?」
《床だけでなくその下の地面ごと、宙に浮くことで場外扱いを回避した者に当てれば退場させられる可能性がございます》
「ふむ……考慮に入れておかないとな」
俺がそんなアクロバティックな回避方法を取れるかはともかく、式神たちの何人かがそうするかもしれない。
また、マイとの試合時同様に、辰の式神に乗って宙を移動する可能性もある。
その際に舞台からはみ出ていれば、そこに床をぶつけて退場にできるわけだ。
「まあ、それができるとしても、基本的には地面を操作しないと難しいよな。うちに地面に特化した使い手とか居たっけ?」
《特化はしておりませんが、カエンやエクリであれば問題なく可能です》
「そうだな、二人ならできそうだ」
錬金術の産物で、錬産術なども使える特異なゴーレムのカエン。
そして錬産術だけでなく、俺の持つ様々な技術を注ぎ込んだ遺製具産の人形エクリ。
結果的に方法は違えど、地面を上昇させるぐらいはできるだろう。
彼らを呼び出し、代わりにやってもらうというのも悪くは無いだろう。
「なら、それも考えておくとして……そうだな、問題は俺のキャパシティか」
《はい。形式上とはいえ、正式に使役していない従魔は一定時間場に留めておくことができません。彼の[ミュチ・ユアル]は擬似的に支配下に収められておりましたが、旦那様にはその許しも降りないでしょう》
「星公認だからこそできた荒業なわけだ。これについては、『陰陽師』もやらないはず。というか、神子である九拿が居ればそんなことせずとも勝てるわけだし」
式神に限り、何体でも契約することができるのが『陰陽師』の権能の一つ。
では、契約と使役が同じかというと……答えは否。
契約したうえで、使役するためのキャパシティを状況に応じて空けなければならない。
式神九人を同時に出す、それそのものは紛れも無い彼女自身の素質によるものだ。
「一方の俺は、俺自身のキャパシティが少ないから数で攻めることは困難だしな。上級職とかに就けていればよかったんだが……まだだったしな」
従魔に関する職業は、やはりそちらに関する適性も就職条件に含まれている。
……精霊やら死霊やら同様に、大半の従魔に関する適性が俺には無いんだよな。
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