虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、とにかく戦い続ける

闘技大会無制限部門後篇 その15

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 今更ながら、決勝戦に備えてルールの再確認中。
 その中で思ったが、多少自己強化を図っても『陰陽師』の式神には遠く及ばない。

「まあもちろん、何にも意味が無いってわけじゃあないんだろうけど。動きにも影響はあるだろうし、他の式神たちの通常攻撃ぐらいなら防げるはずだ……九拿のだけは、通常攻撃が必殺技レベルだろうけど」

 神子の身体スペックは、素の状態で怪物レベル。
 そこに『陰陽師』や他の式神たちのバフも働く以上、さらに埒外な存在と化す。

 おそらくだが、同調やらコピーやらで能力値を複製したらこっち側だけ弾けるしぬはずだ。
 写し取った数値が可能とする動きに、体というか器が一瞬で砕け散る。

「その辺も考慮に入れておかないとな……この件は後回しにするとして。他の制限、時間とかだな」

《決勝戦につきましては、特別ルールとして長めに時間が設けられております。判定による決着となることは、まず無いでしょう》

「あっちにダメージを少しでも与えて、あとは逃げるだけ……ってのはダメなわけだ。正直、これも難しいだろうけど」

 まともに攻撃を通せる方法が無い以上、式神たち九人と『陰陽師』を同時に相手取らなければならない……そうなれば、何人かは確実に徹底防御の姿勢でいるはず。

「まあ、これは対策があるけど……今回は、頼らせてもらうぞ」

《お任せください。我々一同、心よりお待ちしておりました。すでにウォーミングアップが始まっておりますよ》

「あらまあ、出る気満々。それなら良し、数には数で対抗しようじゃないか」

 さすがに表舞台に出たら問題となる子も混ざっているので、その辺は諦めてもらうとして……足りない分は、もしもの時に備えて事前に連絡済みだ。

「また話が逸れたな……えーっと、たしか場外の設定だったな。要は舞台となっている石畳以外の場所に、触れたらアウトってことでいいよな?」

《はい、そのような認識で間違いないかと》

「武技や魔技で編んだ踏み場はOK。あと何らかの方法で舞台外の地面を引っぺがして、相手にぶつけるってのもダメだよな?」

《……確認しましょう》

 何となく思いついたので聞いてみたが、どうやら予想外だったようで。
 ちなみに運営に問い合わせてもらったところ、普通に場外判定にはならないらしい。

《さすがは旦那様です。そのような方法を思いつきになられるとは》

「まあ、そもそもどうやって干渉するのか分からないけどな。戦闘の影響が出ないよう、結界が張られているわけだし」

 結界はあるが、それはあくまでも高出力の攻撃が観客を襲わないためのもの。
 超技術の産物は、それを悪用することを拒み生物だけを素通りさせる。

 ──結界で踏ん張ることはできないし、九拿の斬撃で壊れるレベルだ……過信はできないものにあまり期待はしないようにしよう。

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