2,637 / 2,832
DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会無制限部門後篇 その15
しおりを挟む今更ながら、決勝戦に備えてルールの再確認中。
その中で思ったが、多少自己強化を図っても『陰陽師』の式神には遠く及ばない。
「まあもちろん、何にも意味が無いってわけじゃあないんだろうけど。動きにも影響はあるだろうし、他の式神たちの通常攻撃ぐらいなら防げるはずだ……九拿のだけは、通常攻撃が必殺技レベルだろうけど」
神子の身体スペックは、素の状態で怪物レベル。
そこに『陰陽師』や他の式神たちのバフも働く以上、さらに埒外な存在と化す。
おそらくだが、同調やらコピーやらで能力値を複製したらこっち側だけ弾けるはずだ。
写し取った数値が可能とする動きに、体というか器が一瞬で砕け散る。
「その辺も考慮に入れておかないとな……この件は後回しにするとして。他の制限、時間とかだな」
《決勝戦につきましては、特別ルールとして長めに時間が設けられております。判定による決着となることは、まず無いでしょう》
「あっちにダメージを少しでも与えて、あとは逃げるだけ……ってのはダメなわけだ。正直、これも難しいだろうけど」
まともに攻撃を通せる方法が無い以上、式神たち九人と『陰陽師』を同時に相手取らなければならない……そうなれば、何人かは確実に徹底防御の姿勢でいるはず。
「まあ、これは対策があるけど……今回は、頼らせてもらうぞ」
《お任せください。我々一同、心よりお待ちしておりました。すでにウォーミングアップが始まっておりますよ》
「あらまあ、出る気満々。それなら良し、数には数で対抗しようじゃないか」
さすがに表舞台に出たら問題となる子も混ざっているので、その辺は諦めてもらうとして……足りない分は、もしもの時に備えて事前に連絡済みだ。
「また話が逸れたな……えーっと、たしか場外の設定だったな。要は舞台となっている石畳以外の場所に、触れたらアウトってことでいいよな?」
《はい、そのような認識で間違いないかと》
「武技や魔技で編んだ踏み場はOK。あと何らかの方法で舞台外の地面を引っぺがして、相手にぶつけるってのもダメだよな?」
《……確認しましょう》
何となく思いついたので聞いてみたが、どうやら予想外だったようで。
ちなみに運営に問い合わせてもらったところ、普通に場外判定にはならないらしい。
《さすがは旦那様です。そのような方法を思いつきになられるとは》
「まあ、そもそもどうやって干渉するのか分からないけどな。戦闘の影響が出ないよう、結界が張られているわけだし」
結界はあるが、それはあくまでも高出力の攻撃が観客を襲わないためのもの。
超技術の産物は、それを悪用することを拒み生物だけを素通りさせる。
──結界で踏ん張ることはできないし、九拿の斬撃で壊れるレベルだ……過信はできないものにあまり期待はしないようにしよう。
1
お気に入りに追加
648
あなたにおすすめの小説

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷
くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。
怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。
最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。
その要因は手に持つ箱。
ゲーム、Anotherfantasia
体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。
「このゲームがなんぼのもんよ!!!」
怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。
「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」
ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。
それは、翠の想像を上回った。
「これが………ゲーム………?」
現実離れした世界観。
でも、確かに感じるのは現実だった。
初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。
楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。
【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】
翠は、柔らかく笑うのだった。

職業選択の自由~ネクロマンサーを選択した男~
新米少尉
ファンタジー
「私は私の評価を他人に委ねるつもりはありません」
多くの者達が英雄を目指す中、彼はそんなことは望んでいなかった。
ただ一つ、自ら選択した道を黙々と歩むだけを目指した。
その道が他者からは忌み嫌われるものであろうとも彼には誇りと信念があった。
彼が自ら選んだのはネクロマンサーとしての生き方。
これは職業「死霊術師」を自ら選んだ男の物語。
~他のサイトで投稿していた小説の転載です。完結済の作品ですが、若干の修正をしながらきりのよい部分で一括投稿していきますので試しに覗いていただけると嬉しく思います~

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する
こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」
そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。
だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。
「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」
窮地に追い込まれたフォーレスト。
だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。
こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。
これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。

【完結】聖女ディアの処刑
大盛★無料
ファンタジー
平民のディアは、聖女の力を持っていた。
枯れた草木を蘇らせ、結界を張って魔獣を防ぎ、人々の病や傷を癒し、教会で朝から晩まで働いていた。
「怪我をしても、鍛錬しなくても、きちんと作物を育てなくても大丈夫。あの平民の聖女がなんとかしてくれる」
聖女に助けてもらうのが当たり前になり、みんな感謝を忘れていく。「ありがとう」の一言さえもらえないのに、無垢で心優しいディアは奇跡を起こし続ける。
そんななか、イルミテラという公爵令嬢に、聖女の印が現れた。
ディアは偽物と糾弾され、国民の前で処刑されることになるのだが――
※ざまあちょっぴり!←ちょっぴりじゃなくなってきました(;´・ω・)
※サクッとかる~くお楽しみくださいませ!(*´ω`*)←ちょっと重くなってきました(;´・ω・)
★追記
※残酷なシーンがちょっぴりありますが、週刊少年ジャンプレベルなので特に年齢制限は設けておりません。
※乳児が地面に落っこちる、運河の氾濫など災害の描写が数行あります。ご留意くださいませ。
※ちょこちょこ書き直しています。セリフをカッコ良くしたり、状況を補足したりする程度なので、本筋には大きく影響なくお楽しみ頂けると思います。

聖女のはじめてのおつかい~ちょっとくらいなら国が滅んだりしないよね?~
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女メリルは7つ。加護の権化である聖女は、ほんとうは国を離れてはいけない。
「メリル、あんたももう7つなんだから、お使いのひとつやふたつ、できるようにならなきゃね」
と、聖女の力をあまり信じていない母親により、ひとりでお使いに出されることになってしまった。

異世界召喚に巻き込まれた一般人、馬鹿にされたので勇者より先に悪者を倒します
カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、トラックの衝突事故に巻き込まれそうになる。すると偶然にも傍に居た四人の高校生の足元に「魔法陣」が誕生し、彼等と一緒に謎の光に飲み込まれてしまう。
気付いたときには五人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。話を聞くと現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。
だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「四人」のはずであり、召喚された状況から考えてレアは召喚に巻き込まれただけの一般人だと判断されて城から追放されてしまう――
――しかし、追放された後にレアは勇者にも匹敵する能力があると発覚し、彼は異世界を自由気ままに暮らすことに決めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる