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DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会無制限部門後篇 その10
しおりを挟む触れたら即死な過剰なエネルギーによって構築された、十本の自由に伸びる腕と手。
ただし、発動に死が必要だったので制限時間が過ぎれば強制退場になってしまう。
そんなこんなで制限時間有りの鬼ごっこ、スタートである。
お互いに自らが視る異なる未来を観測しながら、自分の未来を押し付け合っていた。
「────」
「…………!」
それでも、表情に余裕があるのは俺の方。
──そりゃあまあ、『SEBAS』が動かしてくれているからな。
体そのものの動き、未来演算、そして荒れ狂う魔手のエネルギーの操作などなど。
すべてを『SEBAS』が行い、俺はただ手を指示通りに動かしているだけ。
対する『先読』はそれに似たすべてを、自分一人で行わなければならない。
それこそが、俺と彼女との絶対的な差──2VS1という覆しようのない現実だ。
「フィナーレといきましょう。最後はやはり派手に──」
「──させ、な!?」
「……防がれてしまう未来があったのでしょうが、ならば変えるだけのこと。さて、貴女にはいったいどのような未来が視えておりますか?」
死ぬ前提ということで、死亡後に自動で回復する魔力を悪用した過剰な魔力の行使が可能になっている今──それを『SEBAS』が使い、何でもかんでも発動させている。
その大半は魔手の動きで掻き消される仕様なのだが、それを躱すために『先読』が動くことで発動する/しない術式に変化が生じ、その分未来が無数に分岐するのだ。
これが攻める側と逃げる側の明確な違い。
こちら側はただ闇雲に、目の前のことだけ考えればいいのに対し、あちら側は無数の選択を何度も強いられる。
アンデッドである彼女に、肉体的疲れは無くとも精神からくる疲れはあるはず。
ましてや、それが長時間続けば──
「…………っ、ぁ」
「──おしまいです。とても良い試合でしたよ、次が無いことを願いたいほどに」
限界が訪れた。
ほんの一瞬の隙、それを『SEBAS』が見逃すことは無い。
とんっ、と軽い突き。
これまでのように防がれることの無かったその一撃は、俺の貧弱さも相まって本当に彼女の体を少し押すだけに終わる。
だが、それで充分。
周囲から這いよってくる無数の魔手に、もう彼女は抗う術を失っていた。
《退場を確認。主導権を返上します》
「……ふぅ、勝った」
≪試合終了! これまた番狂わせだ! 未来が視える相手にいったいどうやったの!? 勝者──ノイズ選手!≫
そして、数秒絶たずして俺もまた制限時間切れにより死亡──再構築される。
最後のところで粘られていたら、こちら側が負けていたかもしれないな。
準決勝もどうにか勝った。
あとは決勝の相手を待つだけなんだが……いったい、どっちになったんだ?
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