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DIY、とにかく戦い続ける

闘技大会無制限部門後篇 その02

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 観客席(VIP)に家族が集まっている、それだけで俺のやる気は最高潮だった。
 相手が誰だろうと負ける気がしない、全力で挑むのみ。

≪赤コーナー、冒険世界より参戦。前回の試合では突如現れたユニークモンスターすら倒し、生産世界の英雄『星宝級職人』の一人に勝利。残るメンバーは彼以外全員が英雄、果たして勝つことができるのか──ノイズ!≫

 身分を隠しているが、いちおう俺もかつては『超越者』だったんだけどな……。
 今も星敵として、『超越生者』の名を賜ってはいるけども。

 そんなこんなで舞台に徒歩で向かい、その間も『SEBAS』が準備を行っている。
 舞台上に到達したその時、アナウンスと共に転送陣から対戦相手が現れた。

≪青コーナー、武闘世界より参戦。その瞳は何を映す!? まるで未来を見るかのような動きで、相手を見切り下してきた! 果たしてそれは、準決勝になっても見ることができるのか──『先読』!≫

 そこには、巫女服を着た女性が居た。
 特徴的なのは目の辺りと服装だろうか、巫女服といったが現実でよく見る(?)モノよりも動きやすさを重視して短めだ。

 そして目には布が巻かれていて、視界が完全に塞がれている。
 ……まあ、こちらの世界ではそれでも見ることができる補正など、いくらでもあるが。

「お初にお目にかかります、私は──」

「ええ、見えておりますよ。ですが、今回は馴れ合いは不要。事情はあるのでしょうが、容赦などせず勝たせていただきます」

「…………そう、ですか。であれば、仕方がありませんね。こちらも全力で抗い、その先へ向かわせてもらいましょう」

 会話はきっぱりと断られてしまった。
 まあ、前回の試合では『忌創展概』相手に最後は交渉だったからな……その辺、何か懸念をされているのかもしれない。

 アレはかなり特殊な例で、それが通じないならやっぱり戦うしか無いのだけれど。
 アナウンスの通りなら、未来を見ることができる相手にどこまで通じるのやら。


≪それでは準決勝第一試合──開始です!≫


 開幕早々、『先読』が動く──後方へ。
 それと同じくして、『SEBAS』が準備していた大規模な術式が空に現れ、光の柱が舞台上に降り注ぐ。

「なるほど、これを躱しますか……私からこれの前兆は読み取れないはず、ある程度絞ることができますね」

「…………」

「おや、これもだんまり。寂しいですが、仕方がありませんね」

 未来視にもいくつかパターンが存在するため、まずはそれを見極めねばならない。
 動きから導き出すタイプ、数秒先が見えるタイプ、運命的なものに干渉するタイプ。

 その特定ができなければ、少なくともこちらの攻撃は範囲攻撃しか通じなくなる。
 避けられないほど速く、広い攻撃……これも未来視対策の一つではあるからな。

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