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DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会無制限部門前篇 その44
しおりを挟む実証、『忌創展概』が構築した領域は俺のアカウントごと殺すチート権能だった。
ただし代償は凄まじく、膨大なコストが支払われれている……生産世界によって。
《『星域』の効果により一時的に中和しておりますが、それ以上の効果は見込めません。死亡と言っても、あくまで正式な形。試合での敗北と条件は同じものでしょう》
「多少の延命は許される、と……であれば、問題ありません」
「……少し癇に障るかな。検証は済ませてある、この実証によって君の死は確定となるんだ。それ以外の結果は要らない」
「失敗するからこそ、人は更なる発展を遂げるとどこかで聞いたことがあります。貴方のその思い上がり、敗北から学ばせることでお教えしましょう」
念のため、職業能力で得た換装によって装備を一部追加しておく。
腕には宝石付きの腕輪、そして掌の中に小さな短剣を仕込む。
「では、参ります」
「『派生検証No.01:質を覆う量』」
移動開始と同時、『忌創展概』によって召喚陣が展開される。
そこから現れるいわゆる雑魚魔物、だがその量が異常そのもの。
俺を殺すのが簡単なため、そのようなやり方を選んだのだろう。
禁忌なのはそれだけの量を呼び出すこと、下手すればレイドイベント級だ。
「──『約束されし月券利の剣』」
「……は?」
だが、量だけならば問題ない。
手にしたソレは星剣、魔力がある限り物理限界を超越した大きさを得ることができる。
腕を振り、遠心力を味方にした時点で魔力供給を開始──それは一瞬で舞台の端から端まで届き、また宣言により星の力を剣の先まで迸らせた。
「やったか」
《……旦那様》
「まあ、確実に倒せていませんので。冗談ですよ、冗談」
一騎当千レベルで魔物を薙ぎ払ったが、生じた土煙からだんだんと映る人影。
そこには多少服は汚れているものの、まったくの無傷だった『忌創展概』が。
「やはり、これではダメかい?」
「ええ、ダメですね。数で勝りたいというのであれば、今の数十倍は欲しいです」
「……それだけでいても勝てる気はしないけれど、ならば別を用意するよ──『派生検証No.02:量を超える質』」
再び召喚陣が展開され、今回もまたそこから魔物が出現する。
ただし、先ほどのように量重視の雑魚ではない──圧倒的質、たった一体を呼んだ。
「…………これこそ、禁忌では?」
「君を倒すためならと、星も全面協力しているからね。仮に罰せられるとしても、君を討滅したことによる褒賞で帳消しさ」
「そういった問題では無いでしょうに……」
魔物の頭上に浮かぶ文字の羅列。
それは本来この場に居てはいけない、彼女の行った禁忌の証。
──固有種の召喚、彼女はそれを犯した。
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