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DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会無制限部門前篇 その37
しおりを挟む圧倒的スペックを誇る九拿、そして彼女の膂力に耐えられる妖刀喰らいの妖刀。
無敵の従魔集団を相手取る、『陰陽師』が出せる切り札を使ってきたわけだ。
「…………」
《……旦那様》
「知略だな。相手が切り札を使ったと判断したからこそ、九拿を呼び出したんだろうし」
おそらくだが、呼び出すために使われたのは遺製素材を使った貴重な符。
制限時間やら、クールタイムやら諸々の条件があるはずだ。
──それでも、マイを敗北に追い込むには充分過ぎる時間がある。
「何か話しているな」
《読み取りますか?》
「……いや、いい。言いたいことがあるならあとで教えてくれるだろうし、どちらかというと俺よりルリに話す気がする」
こっちの世界じゃ、宗教のトップな聖職者様だしな……。
マイにはマイなりの矜持があり、それが今回『陰陽師』とぶつかったのだろう。
「逆転の目は無い、か……『陰陽師』を知っているからこそ、そう思えるな」
マイにもまだ出していない従魔だったり、伸ばした『プログレス』の能力があるのだろう……それでも、これまで倭島において強者と渡り合ってきた彼女には届かなかった。
九拿の妖刀が無敵を超えて従魔たちを吹き飛ばし、他の式神たちがそれを支える。
また、『陰陽師』がその都度符で支援や妨害を行うため、マイは反撃できずにいた。
そして少しして、無敵化の制限時間が訪れてしまったのだろう。
従魔たちをほとんど下げ、残されたのは聖天狼とマイだけ。
「……よくやったよ、マイは。必要なのは経験、かな?」
《必ずや、お嬢様は多くの経験を積み、次こそは勝利されるでしょう》
「だな。だからマイ、今回は残念だ」
──両手を上に掲げ、降伏を宣言した。
◆ □ ◆ □ ◆
マイは負けてしまったが、大会自体はまだまだ続く……うん、俺の試合がある。
家族の無念を晴らすためにも、何としても勝たねばならない。
「マイからの連絡は無し、と……あの娘はそういう配慮ができる娘だからな」
《こちらに連絡が入っております。旦那様の気を散らすようなことはしたくない。それでも、勝ってほしいと》
「…………負けられないな、絶対に」
相手は生産世界の逸脱者。
冠するのは『星宝級職人:忌創展概』。
どんな相手であれ、舐めてかかることは絶対にできない。
「『SEBAS』、準備はいいか?」
《はい、問題ございません。どのようなご要望でも、対応してみせましょう》
「期待している……勝つぞ、この試合」
そうして俺たちは、舞台の入場口への転移するのだった。
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