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DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会無制限部門前篇 その35
しおりを挟む空中を舞う聖天狼と式神二人。
一方、地面では『陰陽師』が符をばら撒いての遠距離攻撃、地中で地潜土竜がマイの指示で何かをやっている。
「マイは聖天狼の上で目を閉じている……感覚共有の段階を上げて、土竜のやっていることを補助しているのか?」
《従魔師共通の能力ですが、実行するだけである程度の身体強化なども可能です。接続のために回路を拡張し、注ぐ身力の量が増大しておりますので》
「で、そうしてやることを早めると……こうなるわけだな」
それは唐突に。
何かを察した『陰陽師』だったが、対処がやや遅れた──緻密に計算された土竜の穴掘りにより、空洞が生まれた。
対処に遅れた『陰陽師』だが、それでも手に符を持って発動。
顕現──それは緑色の鱗に覆われた辰、彼女を頭部に乗せて空へ上がっていく。
「アレはアイスプルで[グラファイス]がマイにやったヤツの再現か? まあ、あのまま落ちてたら勝ちだったけど……そう上手くはいかないよな」
ルール的に、地面の底に足が着くとその時点で舞台から落ちた判定となる。
マイが途中から土竜に意識を注いだのは、その辺を踏まえたうえで穴を掘るためだ。
かつて、アイスプルで行ったトーナメント戦でマイの対戦相手が舞台を喰った。
……説明が足りないとおかしいのだが、まあ今回それを模倣したと思われる。
だが、結果としてソレは失敗。
落ちた『陰陽師』だがすぐに式神を呼び出し、上空へ退避している。
舞台はすべて陥落し、足の踏み場はもう存在しない。
高度に制限が掛かっている状態で、強制的に空中バトルを強いられることになった。
「! マイ、ここでやるのか……」
マイが周囲に展開した、膨大な数の鳥の魔物たち。
そのすべてに彼女の職業能力のバフが施され、いっせいに『陰陽師』たちへ向かう。
当然、躱すなり反撃するなりする……が、そのどれもが意味を成さない。
攻撃は軌道を変えて的確に追いかけ、彼女たちの攻撃は──纏う燐光に弾かれる。
マイの職業【調律姫】、その能力。
内容は至ってシンプル──無敵化。
本来ならば従魔が死ぬ可能性を持つ調教師系統の職業だからこそ、存在する職業能力。
デメリットは少ない、だがその分制限時間も短めに設定されている。
式神たちは特別な個、対して従魔たちは集団──連携で攻め立てていく。
「…………でもまあ、追い詰められればあっちも本気を出すか」
取り出された新たな符。
それはこれまでよりも厳重に術式が刻まれていて、中に入っているモノの存在感を示している。
そして、そこから現れるのは──
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