2,602 / 2,733
DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会無制限部門前篇 その30
しおりを挟む未だ使われずにいる魔術、その理由について考えたりしていた。
魔力を操る、そのうえで自分だけの力にする……切り札足り得るのかもしれない。
「ショウは……剣を替えたな。アレにはどういう効果があるんだろうか」
《旦那様の[フライハット]はたしかに硬く頑丈ではありますが、性質として土系統の属性から大きく外れることはできません。アイスプルでの試合であればともかく、別世界では得手不得手が生まれてしまいます》
「だからこその交換か……まあ、俺も別に剣一本で無双してほしいって考えて打ったわけじゃないからな。とりあえず壊れない剣、ぐらいの想定だったし」
アレはそもそも、初期の話だしな。
全身全霊で打ち上げた剣、途中技術の向上なのでアップデートをした逸品だが、決して『騎士王』や【冒険勇者】の剣に及ばない。
彼らの剣同様、星具という逸脱した武具の仲間ではあるがあくまでほんの少しのみ。
せいぜい壊れない、チュートリアル用の剣でしか無いからな。
《対して、坊ちゃまが現在お使いになられている剣は、対魔導士戦を想定した一振りのようです。詠唱の遅延や妨害、阻止などに加えて術式の破壊など……使用そのものを拒むような能力を秘めております》
「システムを経由する魔法、そうじゃないけど毎度アイテムを通してからじゃないと使えない魔装には通じるってことか?」
《正しくは、通じるように設計されているといったところでしょうか》
「……うん、いいな。さすがはショウが目を付けた職人さんってことか」
ショウがEHOを始めて出会い、懇意にしている職人の休人が居る。
その子によって作られたのが、現在ショウが使用している『妨涜の剣』。
希少な素材がこれでもかと使われており、俺でも創るのは困難な代物だ……主に使っている素材関係で。
そんな剣を使いだしたことで、ショウの攻撃が『理操の導き手』に届きだしていた。
魔法の発動は後らされ、魔装の起動もあっさりと対処され始めたからである。
魔法はともかく、魔装は手を変えてもその中身自体はそう変えられない。
これまでの苦戦の中できちんと学び、活かしているからこそ対処できていた。
「……頑なに魔術を使わないけど、そうまでして温存したいわけじゃないよな?」
《いえ、それで間違いないかと……情報を隠し通しているのかもしれません》
「ショウ…………」
はっきり言ってしまえば、別に『理操の導き手』がどこまで秘密を持っていてもどうでもいい。
が、それを隠し通すためにショウを相手に手を抜いているのだけは気になる。
無論、相手からすれば使っている魔法と魔装に関して手を抜いてはいないだろう。
それでも、魔術をいっさい使用していない現状はある意味似たようなもの。
……ショウが“オーバーブレイブ”を使わないのは、それが問題だな。
1
お気に入りに追加
643
あなたにおすすめの小説
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
「お姉様の赤ちゃん、私にちょうだい?」
サイコちゃん
恋愛
実家に妊娠を知らせた途端、妹からお腹の子をくれと言われた。姉であるイヴェットは自分の持ち物や恋人をいつも妹に奪われてきた。しかし赤ん坊をくれというのはあまりに酷過ぎる。そのことを夫に相談すると、彼は「良かったね! 家族ぐるみで育ててもらえるんだね!」と言い放った。妹と両親が異常であることを伝えても、夫は理解を示してくれない。やがて夫婦は離婚してイヴェットはひとり苦境へ立ち向かうことになったが、“医術と魔術の天才”である治療人アランが彼女に味方して――
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
公爵令嬢はアホ係から卒業する
依智川ゆかり
ファンタジー
『エルメリア・バーンフラウト! お前との婚約を破棄すると、ここに宣言する!!」
婚約相手だったアルフォード王子からそんな宣言を受けたエルメリア。
そんな王子は、数日後バーンフラウト家にて、土下座を披露する事になる。
いや、婚約破棄自体はむしろ願ったり叶ったりだったんですが、あなた本当に分かってます?
何故、私があなたと婚約する事になったのか。そして、何故公爵令嬢である私が『アホ係』と呼ばれるようになったのか。
エルメリアはアルフォード王子……いや、アホ王子に話し始めた。
彼女が『アホ係』となった経緯を、嘘偽りなく。
*『小説家になろう』でも公開しています。
『王家の面汚し』と呼ばれ帝国へ売られた王女ですが、普通に歓迎されました……
Ryo-k
ファンタジー
王宮で開かれた側妃主催のパーティーで婚約破棄を告げられたのは、アシュリー・クローネ第一王女。
優秀と言われているラビニア・クローネ第二王女と常に比較され続け、彼女は貴族たちからは『王家の面汚し』と呼ばれ疎まれていた。
そんな彼女は、帝国との交易の条件として、帝国に送られることになる。
しかしこの時は誰も予想していなかった。
この出来事が、王国の滅亡へのカウントダウンの始まりであることを……
アシュリーが帝国で、秘められていた才能を開花するのを……
※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる