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DIY、とにかく戦い続ける

闘技大会無制限部門前篇 その29

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 ハラハラドキドキ、『理操の導き手』に翻弄されるショウを観ての感想である。
 高い水準で魔装と魔法を扱うその姿、加えて魔術も同レベルで使えるのだから厄介だ。

「魔術……基本的には、魔力を消費して事象の改変を行うって意味で、魔法や魔装、今なら魔動とも同じなんだよな?」

《はい。魔法はシステムに由来した法則が、魔装は製造時に設定された通りの過程がそれぞれ実行されますが、魔術の場合少し異なる様相となります》

「ふむ、というと?」

 舞台上のショウを映像越しに確認しつつ、それでも問いを重ねる。
 ショウの次は俺が相手になるかもしれないし、純粋に魔術云々も気になるからな。

 重力と闇によって身動きが取れないでいたショウだったが、自らの剣に光属性の魔力を宿し闇の拘束を解除、重力は力尽くで打ち破りその場から脱した。

 対する『理操の導き手』は再度の拘束は試みず、武器の形をした属性魔力を大量に向かわせている──多種多様なその攻撃は、ショウを一歩も近づかせない。

《魔術はその発動工程において、様々な設定が施されます。範囲・形状・性質など……魔法ならばシステムによる補正が入るものを、自らの手で編まなければなりません》

「何ともまあ、大変なこって……そういうと『騎士王』のアレが魔術なのも、細かい部分にいくらでも手を加えられるからなのか?」

《はい。魔導世界であれば理として変更も可能でしょうが、他世界ではそうはいきませんので。新規の術式を、それこそ旦那様用に編み出せる『騎士王』はまさに天才といって過言ではありません》

「うん、それはよく分かる」

 アレか、つまり魔法は外食で魔術は自炊みたいな感じ。
 注文すれば食べられる外食と違い、自炊ならばそれを一から自分でやる必要がある。

 セルフサービスで味変ができる魔導世界でもないのに、俺が満足する料理を用意できるのは凄いと…………たとえが俗過ぎて逆に分からなくなるな。

「けど、自分なりに納得できたよ。だからうちの自前術式も、全部魔術なんだな」

《はい。魔法でもオリジナルの術式は開発可能ですが、アレは発動後にシステムを通じた調整が行われます。基本的に問題は無いのですが、同時に同システムを用いたより高度な術式に打ち破られる可能性が高まります》

「なるほどなるほど……じゃあ、まだ魔術が使われていないのも、それが理由と」

《おそらくは。魔導士から見れば、魔法や魔装はある程度分かりやすいです。そのため、魔術を切り札として温存している、そういった可能性がございます》

 それでも、魔導世界において魔術が頂点に立っているわけでは無いことから、相性なども関わっているのだろうと思う。

 それでも、そのすべてを一流レベルで扱えるヤツであれば、魔術のみを隠したまま勝つだけの余裕があるのだと分かる。

 この二つから俺は考える──うん、ヤバいヤツは魔術で無双できるんだなぁと。
 試合はショウが追い詰められる形で進んでいく、これは本当に不味いかもな。

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