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DIY、とにかく戦い続ける

闘技大会無制限部門前篇 その23

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 長いようで短い試合だったショウの戦い。
 その後行われたマイの試合──従魔に全力でバフを施した結果、相手は何もできないまま瞬殺されるのだった。

「【調律姫】の職業能力、たしか呼び出している従魔に限って能力値を委譲できる効果があったよな」

《はい。加えて、条件の定義を厳密に言えば『封石や迷宮など、隔離空間ではない場所に居ること』。異空間ではあるものの、隔離されていないお嬢様の『モンスターパーク』は条件を満たしていると言えましょう》

「安全な場所に居る従魔から、不意打ちを気にしないレベルの能力値を回収して強化……そりゃあこうなるよな」

 マイは多くの従魔を使役しているし、質もまた高い個体が多い。
 それらすべての能力値が、聖天狼に注がれるとなれば……一種の暴力である。

 スキルは譲渡できない、調律後は強化系のバフを使えないなどの問題はあるが、それ以上のメリットを確保しているマイだからこそできる、とんでも技なのだ。

「しばらくは聖天狼単独で無双できる気がするな……アイスプルでやった時と違って制限も無いし、おまけにアレがな…………下手すりゃ決勝までずっとこのままになるのか」

 それこそ、逸脱した連中でも無ければ止められないかもしれない。
 休人であればジーヂーレベルの強者でもないと、相性抜群でも無いと難しいだろう。

「まあ、それを俺が気にする必要は無いか。あとは適当に観ながら、シミュレーションを重ねていこうか」

 いやまあ、俺がマイと闘うのであれば全力でどうにかしなきゃいけないわけだが……。
 決勝、準決勝でも無ければおそらくそれは無い──たぶん、絶対、ほぼ間違いなく。

  ◆   □   ◆   □   ◆

 現実

 一回戦の試合もすべて終わった。
 二回戦、三回戦は翌日開催というアナウンスを聞いてから、[ログアウト]を行う。

「ふぅ……やっぱり混ざってたな」

 人数に決まりでも設けてきたのか、逸脱した連中が少数ながら入り込んでいた。
 彼らが本気を出せば、全枠が埋まるはずなので、何かしらの取り決めはあるのだろう。

 実際、『騎士王』からそういった話を聞いたことがあった。
 休人の参加は自由なのだが、彼らの場合は星を背負った代表選手なのだ。

「アナタ、お疲れ様」

 たぶん精神的なものからくる疲労感を和らげるべく、水をグイっと一杯。
 そんなことをしていると、同じく戻ってきた瑠璃から労いの言葉を受ける。

「ああ……先日の部門といい、死闘だった気がするよ。翔も舞も凄く強かったし、こりゃそう遠くないうちに負けちゃうかもな」

「──でも、頑張るんでしょう?」

「……そりゃあな」

「ふふっ、応援してますよ」

 ゲーマー夫妻なので、子供たちの成長の場がゲームの中だろうと大変喜ばしい。
 未来がどうなるかなんて分からない……それでも、何かに秀でているのはいいことだ。

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