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DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会無制限部門前篇 その17
しおりを挟むショウの初戦が始まった。
相手は遺製具を大量に保持する実力者。
持っているだけなら、まあ運があればどうにかなるが……予選を突破しているからな。
「ん? 自分の体をアピール……なるほど、遺製具だって主張しているわけだ」
《壊れても損失しない、加えて強力なスキルや優れた補正値のどちらか、あるいは双方を兼ね揃えています。鑑定が有ればすぐに分かりますので、相手に強い警戒心を抱かせることができるでしょう》
「だがそれをこの場面で、わざわざすることに意味があるのかって話なんだが……っと、動いたな」
ショウは動かず、代わりに動いたのは対戦相手の方。
自らの腕を掲げると──ショウの剣が突然この場から消え去った。
「……なるほど、時間稼ぎだったか」
《発動までに時間を必要とする、初見殺しの能力ですね》
「剣は消えたわけじゃなく、使えない状態にされたわけだ。消滅とか消失とか、さすがにその程度ならキャストタイムがもっと長くなるはずだし」
遺製具はそれぞれオンリーワンな性質を有しているため、『SEBAS』とて完全な情報を持ってこられるわけじゃない。
なのでお互い口(音声)に出して、意見の交換をしておく。
……まあ大部分、俺がそれをした方が楽しいと理解してもらっているからだが。
「剣は消えた、でも相手は銃で……というか俺の光線銃か。まあそれで攻撃しているし、攻撃を不可にしたわけじゃない。剣、あるいは近接武器……斬撃、そういうジャンルで縛りを設けたってことか?」
《一定範囲内における、法則の強制。そこに更なる縛りを設けることで、運用を可能としているのかと。直接傷つける武器の保持、近接職に対してはそういった文言を課せば戦闘力は一気に低下します》
「逆に自分は光線銃で、光による攻撃か。弾丸なら間接的ってか? ちょっと強引な気もするけど……まあ、ショウには関係無いから別にいいか」
武器を封じられたショウだが、ならばと光線銃を躱しながら近づいていく。
……光の速度でも避けるのか、EHO補正とはいえとんでもないな。
相手もかなりギョッとしているのが、モニター越しでも分かる。
だがショウは容赦なく近づき、そのまま拳で一撃を──加えられないまま後退した。
「……結界か?」
《いえ、どうやら法則を書き換えたのかと。その証拠に──》
「剣が戻ってるな。つまり、格闘を禁止にでもしたのか?」
さすがに手足をもぎ取ることはできないだろうから、代わりに攻撃から身を守る結界が生成されたと。
再展開には準備が居るだろうから、今ならば剣で攻撃可能なはず。
……問題はまだまだ存在する遺製具、他にどんなものがあるのだろうか。
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