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DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会無制限部門前篇 その16
しおりを挟む圧倒的物量(雪)で押し出す、というかなりアレなやり方で初戦を突破した。
ブーイングが殺到しているのだが、奥の手などを出されたくなかったからな。
「──どれだけ傲り高ぶろうとも、ほんの一瞬見せた隙を突かれて敗北……なんて話はよく聞きますからね」
「…………」
「これは敬意です。切り札、最後の手段、隠し技……。私はそれらを、貴女が持つであろうソレを恐れました。恐れるに値するだろうと認めていました。誇ってください」
「…………チッ」
舌打ちをしてこの場から去る彼女。
だがほんの少し、下がっていた尻尾が上を向いているので良しとしよう。
実際、彼女が両親から受け取ったオーブだけでも、俺を倒しうる危険性はあった。
……アレって強引に破壊すると、内部の力が暴走気味に解放されるんだよな。
「さて、私も行くとしますか」
ヤジと物が飛んでくる中、結界でそれらを捌き舞台の外へ。
次の選手はきちんと転送されることを選んだようで、誰にも遭遇することは無かった。
◆ □ ◆ □ ◆
戻ったのは宿泊先。
元より、転送陣で移動できる仕様なので、闘技島の範囲であれば、選手はどこに居ても問題なく試合に参加できる。
俺の場合、直接の転送ができないのであくまで段階を踏んで、ではあるが。
まあそんなこんなで、部屋で何をしているかというと……選手たちのチェックだ。
「…………ハァ」
《心中、お察しします》
「……前のアレが不味かったんだろうな。いやしょうがない、絶対に観ないでと言われていないだけマシだろう」
もちろん目的はショウとマイ。
だが、どうして会場で観ないのか……それは他ならぬ二人から、俺とルリにほぼ禁止レベルの注意が勧告されたからだ。
うん、ショウが出た前回の無制限部門、アレがかなり気になったらしく。
今回はそうしないでほしい、私もアレは嫌だと言われてしまっていた。
ルリと『これが……反抗期!?』とかネタにしてその場は誤魔化していたが、はっきり言ってかなりショックである。
そりゃあまあ、横断幕を作ったことについて悪いとは思っているけども。
いろんな意味で恥ずかしい、とはマイの談である。
「っと、ようやくショウの番か……相手は、特徴がバラバラだな」
色やらデザインやら、そういった部分が装備の部位ごとに違っている。
そんな休人っぽい人物が、ショウの初戦の相手のようだ。
《おそらくは遺製具かと。アレは生前の姿に近しいデザインとなるため、デザインを自らで決めるのが難しいですので》
「まあ、できないわけじゃないんだが……普通にやると大変だもんな」
装備の格、的な部分がネックなのだ。
なんせ遺製具は超レアアイテム、そのため格もそれなりに高く、見習いやら一次職、二次職でも手を出せない代物。
そのため最低でも三次──上級職レベルが必要で、より良い見た目にしたいならそれ以上の超やら極級の職業が必要なのだ。
そんな裏事情はさておき、相手は大量の遺製具保持者だと思われる。
ショウも持っているとはいえ、数はそれほどでもない……さて、どうなるのやら。
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