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DIY、とにかく戦い続ける

闘技大会無制限部門前篇 その15

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 他者の[ステータス]を模倣する、それが彼女の『プログレス:ミラーリング』。
 それでも技術は別、『SEBAS』の操縦により俺は数値以上の成果を出せていた。

「…………もういいのでは?」

「まだだ、まだ終わってない……」

 何度も地面に転がされ、疲労困憊なカレットに問いかけるが、彼女はフラフラな体をそれでも叩いて動かし、立ち上がり構える。

 どこからどう見ても俺の方が悪役、実際会場中で俺へのブーイングが殺到中だ。
 ──気絶させられた『覇獸』はともかく、【獣王】はただジッと試合を観ていた。

「指輪の効果が切れれば、私の勝ちは確定となるでしょう。私はただ、それを待つだけでいい──こうしてねっ」

 妖刀[宿業]、そしてそこに憑依させている[スノウエスト]の力を発動。
 斬撃の軌跡は俺と彼女を隔て、そこに猛吹雪を発生。

 築き上げられた雪の壁は、瞬時に凍てつき堅固な代物と化す。
 彼女も高い能力値、そして光と結界のオーブで破壊しようとするが……壊れない。

「…………らぁあああああ!!」

「おおっ、これは……」

「これなら、どうだぁあああ!」

 壊れないなら、壊れるまで殴るのみ。
 みたいなノリで猛ラッシュを仕掛け続けた結果、雪にはどんどん罅が入っていき──

「ほい、修復っと」

 再び妖刀を振れば、出来上がっていた罅も上塗りされる形で見えなくなっていく。
 そして、そこで時間が切れたのだろう……雪の壁を叩く音が一気に小さくなった。

「くそぉ……チクショウ!」

「残念ですが、これも勝負です。勝たせてもらいますよ…………もちろん、保険を忘れずにね──ほいっと」

 雪の壁を、『SEBAS』が準備してくれた“千変宝珠・氷”で前に突き出す。
 壊れない壁にそのまま押し出され、カレットは場外へと押し出されていった。

≪試合終了! 勝者、ノーネーム選手! 雪の壁、そして押し出しての退場! もう全く予想が付きませんでした!!≫

 実況の声を聴き、壁の奥できちんと押し出しに成功したと把握。
 妖刀を、指輪を、“孤独蟲毒”を解除して辺りを見渡す。

「…………物凄く、嫌われてますね」

《制圧のような勝利でしたので、あまり好ましくは思われていないでしょう》

「ですが、アレ以外にまともな勝利など見込めませんでしたし。そもそも、試合に向いた[ステータス]ではありませんからね」

 上手く組み合わさっているからこそ、余裕そうに見えているだけで。
 さながら白鳥のように、水面下で必死にならざるを得ないのだ。

 ただ、今回も上手く誤魔化せた、それだけのこと。
 悔しそうな彼女には悪いが……苦難困難として、立ちはだかる障害を演じ続けよう。

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