虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、とにかく戦い続ける

闘技大会無制限部門前篇 その14

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 精霊神様からの下賜品、精霊の指輪により[スノウエスト]を憑依させた。
 荒れ狂う力を[宿業]に注ぎ込み、暴走を体で受け止め“孤独蟲毒”が無尽蔵に強化。

 バグ的なレベルで超強化が可能な現状。
 高まった能力値が[スノウエスト]の力を強引に捻じ伏せ、ただでさえ高い能力値を更に強化している。

 ……なお、最初の方の自傷による自害も大部分は『超越生者』の無敵化で解決済み。
 ただし、これを使うと“孤独蟲毒”の効果が無くなるので、あんまり使わないぞ。

「さて、どう来ますか?」

「──『ミラーリング』!」

「……ほぅ?」

 それは『プログレス』の顕現。
 移植済みのソレから浮かび上がるのは、鏡のように光を反射させる指輪。

 手に取ったそれを迷うことなく空いた指に差し込むと、瞬時に行動を開始。
 ──目にも止まらぬ速さで駆け抜け、俺に拳を撃ち込んできた。

「ぐっ……!」

「効くだろう? そりゃそうさ、アンタの強さそのまんまなんだからな」

「……ああ、『ミラーリング』。つまりそういうことですか」

 実は便利な『プログレス』ということで、把握はしていたコレ。
 予選の『サウザンドエッジ』もそうだが、当然必ず発現者は存在するのだ。

「効果は対象の[ステータス]を複製する、でしょうか? リング、と宣言したうえで装備しているということは、付けることが条件の一──つっ!」

「考える余裕なんて与えるか!!」

「……いえ、ゆっくりじっくり考えさせていただきますよ。ただ、口に出すと思考が纏まるというだけで、それが絶対必要というわけでもありませんし…………ですがこうして、相手の動揺を誘うこともできます」

「チッ!」

 俺の高まった能力値による高速の反撃を、これまた俊敏な動きで躱す。
 そりゃそうだ、俺とまったく同じ素早さAGIを彼女は持っているわけだし。

 攻撃も防御も、運の良さすら同じ。
 加算では無く共有のため、俺を上回ることはできないが、それでも相手と対等な戦いができる状態に持ち込むことができる。

 相手がただ、高い能力値を振り回す相手であればなおのこと都合がいい。
 自らの技量──つまり技術や武術を用い、数値以上の力を発揮すればよいのだから。

 ただし──

「くっ、なんで通らないんだよ!」

「……おや、私が武を収めていないのはお察しの通りですよ?」

「分かってる! なのになんで……それも能力か!」

「それは貴女自身、理解しているのでは? スキルでも何でもなく、ただの実力です」

 ──相手が[ステータス]よりも技量を磨いていれば、状況は悪化する。
 俺は強くない、だが『SEBAS』はそうではない。

 擬・武神流を一から構築してくれた万能AIが、俺を操り動かしている。
 結果、同じ[ステータス]でも技量に差が生じて──上回っていく。

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