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DIY、とにかく戦い続ける

闘技大会無制限部門前篇 その13

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 光の速度で動く、そして結界を生成する。
 これら二つの性質を、オーブによりカレットは獲得していた。

 オーブ自体を破壊すれば、それらの能力を封じることはできる。
 そしてそれは可能だ……それでも、その方法を取ることは無い。

「──[スノウエスト]、来なさい」

『──ッ!!』

 彼女が結界で自らを保護する中、見境なく暴れ回っていた擬似災凶種ディザスターシリーズ
 その眼前に突き出すのは、自らの拳──その指に嵌められた指輪。

 それを一瞥した[スノウエスト]、一度咆哮を上げるとこちらに突っ込んでくる。
 俺の言葉を受け入れたのではない、むしろ抗うために殺そうとして──

「『従え』」

『────』

 そのまま指輪の中に吸い込まれていった。
 獣、災凶種であるこの個体は、獣神様の御業によって、本来の姿に性質が付け加えられた結果、『侵雪界獣』となっている。

 そして本来の姿、それすなわち精霊。
 俺が指に装備している『精霊の指輪』は、精霊神様から下賜されたものであり、精霊を呼び出し使役することが可能となっている。

 あくまでも後天的な獣の姿、精霊としての性質を失っているわけでは無い。
 死に続けたことで溜まった膨大な能力値、そのごり押しで捻じ伏せたのだ。

 ……まあ、元より支配し切れていない存在が内側に入り込んだ結果、一時的に死ぬ速度が急激に加速したわけだけど。

 幸いにも、指輪による神様パワーのお陰で調伏した後は大人しくなった。
 そして、その力はそのまま俺の能力値として使用することができる。

「…………冗談だろう?」

「いえ、これが私の切り札の一つ……そう捉えてもらってもよろしいかと。とはいえ、そう長くは持ちませんのでご安心を」

「いちおう聞くけど、それってアンタが退場するから? それとも、ただ単にそれが使えなくなるだけ?」

「……(ニコッ)」

 うん、ただの妖刀使用制限だ。
 せっかくなので手に取っていた[宿業]に意識を集中し、荒れ狂う[スノウエスト]のエネルギーをそちらへ流し込んでいく。

 並みの妖刀では耐えられない、文字通り世界を滅ぼしうる危険なパワー。
 妖刀はそれに耐え……られないが、外部から力を補給してそれを補っている。

 そして、その供給源とはまさに俺のこと。
 妖刀、[スノウエスト]双方から力をぶん盗られていく中、“孤独蟲毒”が延々と俺の自己強化を図っていく。

「よっと……ああ、これはいけない。力が有り余ってしまっている」

「…………」

 圧倒的強者感、一度は言ってみたい台詞である。
 妖刀を軽く払ってみれば、斬撃痕と共にその軌跡が瞬時に凍り付いた。

 それから少しして、痕の周囲のみが吹雪いて雪が積もっていく。
 元より降っていた雪も相まって、クレバスのような惨状と化していた。

「……さて、どこからでもどうぞ?」

「!」

 明らかな挑発、だがそれでも彼女は──笑みを浮かべている。
 どうやら何かやってくれるようで……見せてもらおうか、ご息女の実力とやらを。

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