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DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会無制限部門前篇 その12
しおりを挟む親の愛が爆発し、宿した魔物の性質を使えるチートなオーブを二つ持つ獣人娘。
光の速度で放たれた一撃、だが俺はそれを的確に処理した……『SEBAS』様々だ。
《すでに『光天軌涯』にて、光速戦闘への対応は可能としております。問題は、もう一つのオーブでしょうか》
燦然と光を放つオーブ、右手の籠手に埋められたそれこそが力の源だろう。
だがもう一つ、左手の側にも同様の物が存在しており、そちらは沈黙していた。
つまり実力はもう一段階上がり、組み合わせ次第で厄介なことになる。
相手方からも全力で来い、と言われているし……使いますか。
「“孤独蟲毒”──『大地は果てなく』」
死亡による自己強化術式、そして擬・武神流の詠唱。
本来は文章を二つ繋げて用いるのだが、一つの場合でも使うこと自体はできる。
今回の場合、地面に足を付けて一対一を行うというもの。
状況に応じて後ろの文を加えられる、待ちの姿勢を取る状態だ。
「そしてここからが重要です──[宿業]、『死ニ戻リ』」
「はぁっ!?」
「『侵雪界獣[スノウエスト]』、その劣化版です──行け!」
『────ッ!!』
かつて、獣人たちの国で行われたお祭り。
その中で俺は聖獣の試練を受け、その中で擬似的な災凶種と戦わされた。
それこそがこの個体。
存在が確定した瞬間から会場に吹雪が顕現し、咆哮を上げると同時に視界が真っ白になるレベルで吹雪き出す。
厄介極まりない性質、どこまでも雪を散らすその現象は、北の果てに存在した国を滅亡させるほど────ちなみに、使役はできていないので俺も殺意の対象です。
「さぁ、どうしますか? ……ああ、制限時間の経過を待つのもいいでしょう。これは対価を支払い、一時的に顕現した存在。いづれは消えることをお約束しますよ」
「……言ってくれる。その間にアンタ、どこまでも強くなる気だろう?」
「ふふふっ、さてどうでしょうね?」
不意打ち程度ならば、死の警鐘と擬・武神流によって防げる。
攻性を秘めた雪により俺は何度でも死に、その都度自身の強化が行われていく。
バグやらチートやらを疑われるレベルの面倒臭さだが、仕様なので仕方がない。
……俺、というかすぐに死んでも困らないヤツなら、誰でもできるんだけどな。
「チッ、でも雪ならちょうどいい。こっちの方も見せてやるよ」
「……ほう」
「──なんてな、はっ!」
それはオーブから放たれたものではない。
だが高まったエネルギーの解放により、一時的にこの場から雪が消えた。
そして、今度こそオーブが発光。
展開されるのは膜、だがその中に雪が入ることは無い──結界か。
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